カフェでの話し合い後、ゆみこから連絡を受けた兄がさとみに電話をかけてきました。兄は妻・ゆみこが両親に家事育児を丸投げしていたことを知らず、事の真相に驚き、ショックを受けたようです。さとみの話を聞いた兄は、自分も行動を起こすと発言します。
兄からの電話
カフェでの話し合いは、結局ゆみこさんが「ごめん、今日はもう帰るね」と立ち去ってしまい、不完全なまま終わってしまった。私は家に帰り、母にそのことを話すべきか悩んだが、余計な心配をかけるだけだと思い、黙っておくことにした。
それから数日後、兄から電話がかかってきた。
「さとみ、 今大丈夫?」
兄の声は、いつになく真剣だった。
「うん、大丈夫だけど」
「いや、実は、ゆみこから聞いたんだよ。さとみと話したって」
私は一瞬、心臓が跳ね上がった。ゆみこさんが兄に話したのだ。
兄の反省
「ああ、ちょっとね」
「なんで黙ってたんだよ。俺、ゆみこから聞いてびっくりしたんだ」
「ごめん。お兄ちゃんに余計な心配をかけたくなくて」
兄はゆみこさんに聞くまで、ゆみこさんが実家でどんな過ごし方をしているか知らなかったという
「俺はてっきりゆみこも一緒に実家のことしてくれてるんだと思ってて、まさか母さんと父さんに丸投げだとは思わなかったんだ」
兄の言葉に、私は少しだけホッとした。兄が親に丸投げするよう指示したわけではないんだ。
「そうなの。お母さんたちがクタクタで心配で…」
「悪かったよ。春に双子が生まれてから俺もゆみこもいっぱいいっぱいでさ。つい頼りやすいところに負担かけちゃったんだと思うよ。配慮が足りなかったな」
「お兄ちゃんは悪くないし、ゆみこさんも悪気はなかったと思うの。きっと疲れて甘えたかったんだよね」
兄曰く、ゆみこさんの両親は病気がちでなかなか頼れないらしい。私もその情報を知らないために「うちの親ばかり頼る」と不満っぽく言ってしまったことを後悔した。
「俺たちが図々しかったよ。今度ちゃんと父さんと母さんに謝りに行くつもり」
兄は静かにそう言った。ゆみこさんだけでなく「俺たち」と表現する兄は、家族思いだと思った。

