「ラブホテルに行った」は不倫の決定打? 前橋市長再選で注目される「男女関係」の法的ライン

「ラブホテルに行った」は不倫の決定打? 前橋市長再選で注目される「男女関係」の法的ライン

前橋市長選で、前市長の小川晶氏が2度目の当選を果たした。小川氏は、部下だった既婚の男性職員と10回以上にわたりラブホテルで会っていた問題を受けて辞任し、今回の出直し選挙に臨んでいた。

この問題が発覚した際、小川氏はラブホテルを利用した事実は認めたものの、「男女関係はない」「仕事の相談だった」と説明し、強い批判を浴びた。

当選が伝えられると、改めてこの問題に注目が集まり、「ラブホテルに行った」という事実が、法的にはどのように評価されるのかについて、テレビ番組やSNSなどで議論が広がっている。

実際、不貞行為や男女関係の有無が争われる裁判では、ラブホテルの利用はどの程度「決定的」な意味を持つのだろうか。男女の法律問題にくわしい長瀬佑志弁護士に聞いた。

●「ラブホテル」と「一般的なホテル」はどう違う?

──男女が一緒にラブホテルに出入り・滞在した事実は、裁判でどの程度「性的関係があった」と判断されるのでしょうか。一般的なホテルとはどのような違いがありますか。

実際の裁判において、異性と2人きりでラブホテルに出入り・滞在したという事実は、性的関係(不貞行為)があったことを強く推認させる事情とされます。

一般的なシティホテルやビジネスホテルであれば、密室であっても会議や商談、あるいは純粋な休憩として利用される余地が、社会通念上あり得ます。

一方、ラブホテルは、その構造や利用目的から、性行為を目的として利用される施設であり、少なくとも性行為を伴うことが多いという経験則があります。そのため、他の場所よりも強力な証拠、いわゆる「間接事実」として扱われます。

過去の裁判例でも、不貞行為を妻に疑われた夫が、ラブホテルの利用について「宿泊や休憩に利用していた」と反論しましたが、判決では、通常のビジネスホテルやカプセルホテル等が多数存在する中、あえてラブホテルを選んで利用する合理的理由がないとして、不貞が推認されると判断されました(名古屋高裁平成21年5月28日判決)。

●「ラブホテルには行ったが男女関係はない」主張は通るのか

──不貞を疑われた側が「ラブホテルには行ったが、男女関係はなかった」と主張した場合、裁判ではどのように検討されますか。

当事者が「仕事の話をしていた」「酔って休んでいただけ」と説明しても、それを裏付ける客観的な証拠がなければ、裁判所は「合理性のない弁解」として退ける傾向にあります。

たとえば、ある裁判では、妻に不貞を疑われた男性と女性が「保険の打ち合わせ」後に、男性が泥酔したためラブホテルに宿泊したと主張しました。しかし、裁判所は、ビジネスホテルに別々に宿泊することも可能であった点や、その後の同居実態などを踏まえ、被告の主張を採用せず肉体関係を認定しました(東京地裁令和4年1月26日判決)。

ただし、例外的ではありますが、既婚男性と独身女性が複数回ラブホテルを利用しながらも、不貞行為が否定された裁判例も存在します。

この事案では、2人は心理学(アダルト・チルドレンや依存症)の師弟関係として相互学習をおこなっており、DVD視聴やロールプレイングのために防音や設備の整った個室が必要だったこと、コストを抑える必要があったことなどから、ラブホテルを利用する相応の理由が認められました。

さらに、2人のLINEで、「肉体関係は諦める」「スキンシップ無し」「シェアリングパートナー(分かち合いの相手)を貫く」などの、性欲と戦いながらプラトニックな関係を維持しようとする葛藤や合意が記録されていました。そのため、性的関係の推認に重大な疑問があるとして請求が棄却されました(福岡地裁令和2年12月23日判決)。

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