側頭骨骨折の前兆や初期症状について
側頭骨骨折は転倒などによる頭部への衝撃で生じる骨折のため、前兆はありません。初期症状ではほかの骨折と同様に、激しい痛みや腫れ、内出血が生じます。
側頭骨は骨折では、クモ膜下出血や脳挫傷などの合併症に注意が必要です。これらの合併症では、吐き気や嘔吐(おうと)、めまいなどの重篤な症状がみられます。
そのほかの症状として難聴、顔面神経麻痺などが現れることもあります。
また、鼓室(鼓膜の裏にある小さな空洞)からの出血や、耳の後側を通っている後耳介動脈の損傷による内出血(Battle sign)も多くのケースでみられます。
側頭骨骨折では、縦骨折と横骨折で異なる症状がみられます。
縦骨折では側頭骨骨折により中耳や外耳(耳の構造のうち、外側の部分)の機能が低下し、伝音性難聴(音が伝わらないことで聞こえない難聴)が生じます。また、縦骨折の25%で遅発性の顔面神経麻痺が生じるとされています。
ただし、縦骨折の顔面神経麻痺は神経浮腫(骨折によって生じるむくみ)が原因で起こるものであり、一過性であることが多いです。
対して横骨折は内耳に影響する骨折で、めまいの原因となる可能性があります。また、顔面神経切断による永続的かつ即効性の顔面神経麻痺が横骨折に生じやすいため、適切な治療が必要です。
側頭骨骨折の検査・診断
側頭骨骨折の検査はCT検査が有効です。CT検査は側頭骨骨折のほか、脳出血などの診断にも役立ちます。
CT検査のほか、聴力検査も有効です。とくにCT検査で鼓室内出血や耳小骨(じしょうこつ:音を判別するための骨)に損傷が見られた場合、どの程度聴力が低下しているかを確認するために実施されます。
鼓室内出血は通常自然に軽快していくため、鼓室内出血由来の難聴は改善の可能性がありますが、耳小骨損傷に伴う難聴の多くは自然軽快しません。
そのため、耳小骨損傷と難聴を認める場合には手術が必要になることが多いです。
また、側頭骨骨折に伴う顔面神経麻痺がみられる場合には、電気生理学的検査が有効です。電気生理学的検査とは顔面神経の電気信号を測定する検査で、顔面神経が機能しているかを調べます。

