妹の笑顔が過去を救ってくれた
月日は流れ、次女も高校生になりました。
社会人になった私が帰宅すると、彼女は玄関まで走ってきて「お姉ちゃん、おかえりなさい!」と、とびきりの笑顔で迎えてくれます。
「今日もお疲れ様」と労う彼女の優しさに触れるたび、温かな安堵が広がりました。
あんなに過酷な環境で育ちながら、妹は人を思いやれる、真っ直ぐで心のきれいな子に成長してくれた。
その笑顔を見るだけで、これまでの苦労がすべて吹き飛びました。
一番下の妹が涙で明かした孤独。「選ばれた側」もまた、苦しんでいた
その後、母が病に倒れたことをきっかけに、成人した三姉妹が本音を語り合う機会が訪れました。そこで意外な告白をしたのが三女でした。
「ずっと、自分だけが愛されるのが苦しくて、居心地が悪かった」
三女は涙ながらに当時の心境を絞り出しました。自分だけが特別扱いされることで、大好きな姉たちとの間に壁ができる恐怖。姉たちが冷遇される姿を見せつけられる残酷さ。
選別された側の三女もまた、逃げ場のない罪悪感の中で孤独に震えていたのです。
母が作った残酷な格差は、皮肉にも私たちを強い絆で結びつけました。過去の傷跡が消えることはありませんが、支配を乗り越えた今、私たちはようやく「本当の家族」になれた気がします。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。

