高血圧と糖尿病は腎臓の大敵?進行を防ぐための数値目標と生活習慣のポイント【医師解説】

高血圧と糖尿病は腎臓の大敵?進行を防ぐための数値目標と生活習慣のポイント【医師解説】

高血圧と糖尿病は、腎臓病の二大原因として知られています。これらの疾患がある場合、腎機能の低下が進みやすくなるため、適切なコントロールが欠かせません。血圧や血糖値を適正に保つことは、腎臓を守る上での基本的な対策となります。病気の進行を遅らせるためにも、日々の管理が重要です。

井筒 琢磨

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

江戸川病院所属。専門領域分類は内科(糖尿病内科、腎臓内科)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会

血圧や血糖が腎臓に与える影響

高血圧と高血糖は、腎臓にとって大きな負担となります。これらをコントロールすることは、慢性腎臓病の進行を防ぐ上で重要です。

高血圧と腎臓の関係

高血圧は、腎臓病の原因であると同時に、結果でもあります。高い血圧が続くと、腎臓の細い血管が障害され、腎硬化症という状態になります。血管の壁が厚く硬くなり、血流が悪化することで、腎臓の組織に十分な酸素や栄養が届かなくなります。

一方、腎臓の機能が低下すると、身体の中の塩分や水分の調節がうまくいかなくなり、血圧が上昇します。また、腎臓から分泌されるレニンというホルモンが血圧を上げる方向に働きます。このように、高血圧と腎臓病は互いに悪影響を及ぼし合う関係にあります。

慢性腎臓病の方は、血圧を130/80mmHg未満に保つことが推奨されています。一般的な高血圧の治療目標よりも厳格です。血圧を適切に管理することで、腎機能の低下速度を遅らせることができます。

降圧薬の中でも、ACE阻害薬やARBといった種類の薬は、腎臓を保護する効果があることが知られています。これらの薬は、腎臓の濾過圧を下げることで、糸球体への負担を軽減します。ただし、腎機能が著しく低下している場合は、慎重な使用が必要です。

糖尿病と腎臓病の進行

糖尿病は、慢性腎臓病の主要な原因の一つです。高血糖状態が続くと、腎臓の濾過装置である糸球体の毛細血管が障害されます。血管壁が厚くなり、濾過機能が低下していきます。初期段階では、微量のタンパク質が尿に漏れ出る微量アルブミン尿が見られます。

糖尿病性腎症は段階的に進行します。第1期は腎症前期で、腎機能は正常ですが、糸球体が肥大します。第2期は早期腎症期で、微量アルブミン尿が出現します。第3期は顕性腎症期で、明らかなタンパク尿が持続し、血圧も上昇します。第4期は腎不全期で、腎機能が著しく低下し、クレアチニン値も上昇します。第5期は透析療法期です。

血糖値のコントロールは、糖尿病性腎症の進行を防ぐ基本です。ヘモグロビンA1c(HbA1c)を7.0%未満に保つことが推奨されています。ただし、低血糖のリスクや年齢、合併症の状態によって、目標値は個別に調整されます。

血糖コントロールに加えて、血圧管理、脂質管理、禁煙など、総合的な対策が必要です。また、糖尿病の治療薬の中には、腎臓を保護する効果が報告されているものもあり、適切に選択することが大切です。

まとめ

慢性腎臓病は、早期発見と適切な管理により、進行を遅らせることが可能な病気です。健康診断でクレアチニン値の異常を指摘された場合は、速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けることが重要です。

食事療法、薬物療法、生活習慣の改善を組み合わせた総合的なアプローチにより、腎臓の機能を守ることができます。定期的な検査で状態を把握し、医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った治療を続けていきましょう。

病気の進行には個人差があり、治療の効果も異なります。不安や疑問があれば、遠慮せず医療スタッフに相談することをおすすめします。適切なサポートを受けながら、前向きに病気と向き合うことが大切です。

参考文献

日本透析医学会「透析療法の現況」

日本腎臓学会CKD 診療ガイドライン 2023

配信元: Medical DOC

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