「突然死」のリスク、 PET検査でわかる心臓サルコイドーシスの恐怖とは【医師解説】

「突然死」のリスク、 PET検査でわかる心臓サルコイドーシスの恐怖とは【医師解説】

PET検査というと、がんを見つける検査というイメージが強いかもしれません。しかし、じつはがんの発見だけでなく、様々なシーンでPET検査は用いられるようです。PET検査が有用な疾患について、検査専門の施設でPET検査を数多く実施している「ゆうあいクリニック」の吉田先生に教えていただきました。

吉田 啓介

監修医師:
吉田 啓介(ゆうあいクリニック)

金沢大学医学部(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業、横浜市立大学大学院医学研究科修了。2024年、神奈川県横浜市港北区に位置する「ゆうあいクリニック」の院長に就任。医学博士。日本核医学会核医学専門医・PET核医学認定医、日本医学放射線学会専門医。検診マンモグラフィ読影認定医師。

編集部

アルツハイマー型認知症以外に、PET検査が有用な疾患はありますか?

吉田先生

心臓サルコイドーシスや大型血管炎の評価に、PET検査が用いられることもあります。

編集部

心臓サルコイドーシスについて教えてください。

吉田先生

リンパ節、目、肺、心臓などの、全身の様々な臓器に肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれるしこりができる病気をサルコイドーシスと言います。発症の原因は不明であり、難病指定されている疾患です。それが心臓にできたものが心臓サルコイドーシスです。

編集部

心臓サルコイドーシスになると、どのような症状がみられるのですか?

吉田先生

強い動悸、めまい、立ちくらみ、失神、手足のむくみなどが表れます。また、致死性不整脈が起こり、突然死の原因になることもあるので注意が必要です。

編集部

なぜ、PET検査が心臓サルコイドーシスの診断に有用なのでしょうか?

吉田先生

心臓サルコイドーシスのPET検査では、ブドウ糖によく似た性質を持つFDGという薬剤を注射して、FDGの集まり具合によって疾患の活動性を評価します。FDGは炎症を起こしている病変に集まりやすいという性質があるため、FDGの集まり具合を確認することで心臓サルコイドーシスの評価をすることができるのです。

編集部

大型血管炎についてはいかがでしょうか?

吉田先生

大型血管炎は大動脈とその主要分枝に炎症が生じる疾患の総称で、「高安動脈炎」と「巨細胞性動脈炎」の2つに分類されます。FDGは炎症を起こしているところに集まりやすいという性質があるため、PET検査をおこなうことで、全身のどこで炎症が生じているのか、活動性の有無について一度の検査で診断することが可能です。

※この記事はMedical DOCにて<「PET検査」はがんだけじゃない!? 発見できる疾患や検査の注意点も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

配信元: Medical DOC

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