食べられなくてもいい、残してもいい
食べなきゃ、と思えば思うほど食べられなくなる。頭の中で責め立てる声に怯えて、体が硬直してしまう。何も食べられずに帰宅すれば、生き返ったようにお腹が鳴るのです。たちまちむなしくなって、ももこは泣いてしまいます。どうにもならないつらさや痛みにもがき、解決策を模索したももこを救うのは精神科医であり、やさしい同僚や上司であり、ももこの気づきと努力でした。
体と心の健康、その源となるのは食べ物であり、楽しくおいしくいただける時間ではないでしょうか。本書は食事と、食事がもたらす心の作用をとおして、ももこが自分の人生を生きなおす物語です。ももこがどうやって会食恐怖症を克服したのか、あなたの目で確かめてみてください。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx

