
Netflixで配信中の「ボーイフレンド」シーズン2。2024年7月に配信されたシーズン1はNetflixの日本の視聴ランキングで上位に入る人気ぶりを見せたほか、海外のメディアにも取り上げられるなど、大ヒット作品となった。それから約1年半が経ち、2026年1月からシーズン2の配信がスタートした。
日本で初めてとなる男性同士の恋愛リアリティショー「ボーイフレンド」誕生の背景を、 Netflixコンテンツ部門所属で本作品のエグゼクティブプロデューサー太田大さんと、シーズンを通してキャスティングを担当するTaikiさん・シーズン1の制作担当プロデューサー菱田啓介さんの3人に聞いた。
■男性同士のリアリティショーを企画した理由
――「ボーイフレンド」は日本でかつてない、同性同士の恋愛リアリティショーとして、シーズン1の配信前から話題となりました。なぜ、この番組を作ろうと思ったのでしょうか。
太田大(以下、太田) 7、8年ほど前から、同性同士の恋愛リアリティショーを構想し始めていました。フィクションの世界では、当時すでに日本でも多様な恋愛のかたちが描かれるようになっていましたが、リアルを描くエンターテインメントの世界で取り上げられる恋愛は異性愛のみで、そのほかの恋愛に蓋をされているように感じていたんです。社会が受け止められるタイミングを慎重に見極めながら、いつか作りたいと考えているなかでTaikiさんとパートナーのNoahさんと知り合い、一緒にものづくりができればと思いました。
Taiki 当時から僕は韓国人のパートナーのNoahとともにゲイカップルとして表に出る活動をしていたのですが、自分たちを見て、“自然でいいんですよ”ということが伝わればいいと思っていて。その中で、男性同士のリアリティショーは自然にあっていいものだろうと思っていたんです。

――異性間ではない、同性間のリアリティショーだからこそ懸念した点、慎重に進めた点はありますか。
太田 何よりも、視聴者がどう受け止めるかというところを気にしていました。どんなにしっかりとしたビジョンと理念を込めて丁寧に作ったとしても、表面上だけ、極論を言えば見ることもなくトピックだけで語られる場合もありますし、意図とは違うような見方で捉えられる可能性、危険性はあると思っていまして。
菱田啓介(以下、菱田) 撮影中は、勇気を出して出演を決意してくれたBoysに対して、1 ヶ月半という長期間の共同生活中に、誰かが出演を後悔したらどうしよう、という恐れはずっと持っていました。撮影を無事に終えても、今度は、配信された時の世間の反応やそれを受け取ったBoysがどのような感情になるかも常に心配でしたね。配信が近づくにつれBoysも不安を感じているのが分かったので、常に連絡を取り合い、少しでも不安を取り除けるよう努めていました。
太田 配信後、世の中からBoys自身が望んでいたものとは異なる反応があることは十分考えられます。そうした反応があった時に、出演を後悔してしまう可能性もあるので、そういった事態を最大限避けるべく、オーディション時・撮影前・撮影中・撮影後・配信前・配信後と、すべての局面で、プロデューサー陣とNetflixでケア態勢を組んで、彼らに不安が残らないように対話を重ねてきました。
――Boysのキャスティングはどのように行われたのでしょうか。
Taiki キャスティングは、自分が中心になって決めていきました。太田さんと僕で出演者を絞り込むにあたっては“主人公になりうる人で、誰からも愛される人” を基準に選んでいきました。
太田 番組作りとなると、どうしてもキャラクターの分担を求めてしまいがちです。たとえば、ものすごく澄ました人がいれば、おちゃらけている人がいて…というように。でもそれはあくまで既存の枠組みの発想だなと思っています。人間っていろんな側面があるから、1人に1つの役割だけを担わせることはできないはず。リアルな姿を見せたいから、キャラクターではなくて、「とにかく本当に愛される人」という視点で選んでいきました。
――シーズン1が全話配信されて、こうして世界で多くの人に届き、愛されることは予測していましたか?
太田 そうなるといいなと思ってはいましたが、ここまで反響があるとは思っていませんでした。
Taiki シーズン1が配信された後、シーズン1のBoysの1人であるユーサクがゲイナイトで踊るのを見に行ったんですが、それまではもちろんゲイしかいなかった空間に女性のファンが溢れていて、その環境の変化に驚きました。これまで自分たちだけの世界だと思っていたことが、少しずつ周りの人たちに理解されていく、「ボーイフレンド」が知るきっかけになる、というのはすごいことだと思います。僕にはもともとLGBTQ+の人たちにありのままに自然でいてほしい、という願いがずっとあって。昔は受け入れてもらえなかったことが、時代が変わり、自然なものとして感じてもらえるのはすごく嬉しく思います。

■シーズン2では「さまざまな恋の形」が
――ついにシーズン2の配信が始まりましたが、シーズン1とはまた違って冬の北海道が舞台ですね。
太田 シーズン1は、夏から秋にかけての「人生の夏休み」――大人になってからの、夏休みのような時間を描けたらいいなと思っていたのですが、今回は冬から春が舞台です。身を寄せ合い温め合う、心も温め合うような物語になりました。シーズン2では、友情はもちろんいろいろなかたちの恋が生まれます。大人の恋だったり、ドラマチックな恋だったり……トレンディドラマのような展開も見られると思うので、みなさんの感想が楽しみです。
菱田 純粋さ、尊さのようなものは、シーズン1に続いて今回も十分感じてもらえると思います。シーズン1では1 ヶ月半の共同生活だったのですが、2では2 ヶ月になったことにより、よりいろいろなことが起きているので、そこにも期待してほしいです。
太田 初回の配信で分かるのですが、Green Roomで思いがけない再会が起こります。かつて片想いをしていた相手も偶然参加していたという。でも、それは「もう一度会いたかった人」というより、「自分の心に傷を残した人」として記憶に蓋をしていたようなのですが、私たちもまったく知らなかったので本当に驚きました。オーディション時にそれぞれから聞いていた交友関係などからは上がってこなかったので、まさに運命だと感じましたね。その“再会の恋” と、あとはものすごく苦しい片想い、三角関係、そして、初恋を探しに来たBoysも登場…と、さまざまなかたちの恋が交錯していきます。

――かなりの数の候補の中から選ばれたBoysだとか。
太田 今回は1000人近くの応募が来ましたね。その中から30人くらいの方に実際にお会いしました。
Taiki とくに応募条件を設けていなかったからこそ、皆さんとにかく応募シートにしっかり熱量が込められていましたね。とはいえ自然な部分を見せてほしいと思っていたので、「出たい」という想いの強さよりも、ナチュラルに自分を見せてくれそうだな、という方にお願いしました。
太田 音楽は引き続きGlen Checkが担当してくれています。主題歌は変わらず「Dazed&Confused」ですが、シーズン2のために「Bloom」という新たなラブソングを書き下ろしてくださいました。北海道の冬の厳しい寒さから、やがて春の芽生えに向かっていくような感動的な曲です。その他、さまざまなアーティストたちの名曲も含めて、すべての音楽が10人のBoysの物語を彩ってくれているので、そんなところも注目していただけると嬉しいです。

太田大(おおただい)
「ボーイフレンド」エグゼクティブ・プロデューサー。フジテレビにて編成や番組の企画制作に携わり、2022年Netflix入社。実写のクリエイティブチームに所属し、アンスクリプテッド作品(リアリティショーやバラエティなど)を担当。
菱田啓介(ひしだけいすけ)
「ボーイフレンド」シーズン1チーフプロデューサー。共同テレビにてリアリティショーほかさまざまな番組の制作に携わり、「ボーイフレンド」の現場制作を経て、2024年Netflix入社。
Taiki(たいき)
「ボーイフレンド」キャスティングを担当する。モデル、芸能事務所の代表取締役として活躍するほか、パートナーとの日常を配信するYouTubeチャンネル「TAIKINOAH」も人気を集め、インフルエンサーとしての影響力も持つ。
◆取材・文=吉田可奈

