大腸カメラは、大腸がん予防のために何歳から受けるべきかご存じですか? 医師が解説

大腸カメラは、大腸がん予防のために何歳から受けるべきかご存じですか? 医師が解説

大腸がんを予防するための方法

大腸がんを予防するための方法

編集部

健康診断の便潜血検査と大腸カメラの役割の違いについて教えてください。

笹島先生

便潜血検査は、便の中に血液が混じっているかを調べる簡易的なスクリーニング検査です。大腸がんやポリープからの微小な出血を検出することを目的としていますが、あくまで一次スクリーニングとしての検査に過ぎず、感度や精度には限界があります。便潜血検査は(偽)陰性がんといって、実際には大腸にがんがあるのに便潜血検査では陰性という結果になってしまうことがあります。進行がんであっても10~15%程度が便潜血検査で陰性となってしまうと報告されております。一方で大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、腸内を直接観察しながらポリープなどの病変を見つけ、必要であればその場で切除まで行える確定診断と治療を兼ねた検査です。便潜血検査が陽性となった場合には、大腸カメラによる精密検査を速やかに受けることが重要です。

編集部

便潜血検査や大腸カメラ以外にも検査する方法はありますか?

笹島先生

内視鏡が実施できない施設や人間ドックでは、大腸CT(CTコロノグラフィー)という選択肢が用いられることもあります。これは放射線を用いて腸内を画像で確認する検査で、自由診療が主体であるアメリカでは大腸がん検診のオプションとして推奨されています。アメリカでは、大腸カメラ検査の費用が、日本よりもかなり高額であることが背景にあります。注意点として、1回あたり5~7ミリシーベルトの被ばくを伴うとされており、毎年検診として使用するには適していないという報告もあります。また、実際にポリープが見つかった場合には、結局内視鏡での再検査・切除が必要になります。中には「CTコロノグラフィーよりも鎮静剤を使用した大腸カメラのほうが楽だった」と話す患者さんもおり、苦痛の程度は一概には言えないものの、内視鏡検査に過度な不安を感じて検査を拒まず、一度専門医による内視鏡検査を受けてみることが望ましいと考えます。

編集部

検診を行う以外に大腸がん予防において重要なことはありますか?

笹島先生

検診の受診とあわせて、日々の生活習慣を見直すことも、大腸がん予防には非常に有効です。近年の研究では、大腸がんの患者では血中ビタミンD濃度が有意に低い傾向があることが報告されており、ビタミンDの摂取が予防に寄与する可能性が示唆されています。青魚、サケ、マグロや紫外線を浴びて生育したキノコ類に含まれるビタミンDを積極的に摂取し、加えて紫外線カット効果の高い日焼け止めを塗る、紫外線カット対応の洋服を着るなどした上で有害紫外線を防ぎつつ、昼前後(午前10時~午後3次)に10分程度の日光浴を行うことで、体内で活性型ビタミンDが生成され、より効果的な予防につながる可能性があります。安易にサプリメントなどで、多く摂取しすぎると思わぬ合併症を招くことがあるので注意しましょう。また、肥満の改善や禁煙、過度な飲酒の制限、加工肉の摂取を控えることなども、発がんリスクの軽減に有効です。

編集部まとめ

大腸がんは、ポリープ(良性の腫瘍)の段階で見つけて切除することで、がん化を未然に防げる病気です。特に、リスク因子を持つ方にとって、大腸カメラは早期発見・予防のための重要な手段となります。便潜血検査と内視鏡の違いや検査を受けるべき年齢、日常生活でできる予防策を知ることで、がんのリスクを下げ、安心して生活するきっかけになるはずです。本稿が読者の皆様にとって、大腸がんの予防と早期発見につながる一助となりましたら幸いです。

配信元: Medical DOC

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