「レム睡眠行動障害」になると「夢と同じ行動を現実で起こす」?症状を医師が解説!

「レム睡眠行動障害」になると「夢と同じ行動を現実で起こす」?症状を医師が解説!

近年、心身の健康を維持する要素の一つとして睡眠の重要性が注目されており、みなさんの中にもご自身の睡眠の状態が気になる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

睡眠は年齢とともに変化しているといわれており、睡眠障害で悩む方も増えていきます。また、ご本人は気がついていなくても、睡眠障害に伴う異常行動が出現する睡眠時随伴症のために周囲の人が不眠などの睡眠障害を抱えてしまうこともあります。

そこで、今回はご自身では気が付いていないかもしれない睡眠に関する病気の中でも、レム睡眠行動障害という病気について詳しく解説をしていきます。

※この記事はメディカルドックにて『「レム睡眠行動障害」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

レム睡眠行動障害とは?

女性がベッドで頭を抱えている

レム睡眠行動障害とはどんな病気?

睡眠には大きく分けてREM(レム)睡眠とNREM(ノンレム)睡眠の2種類があります。レム睡眠行動障害は、このREM睡眠中に異常行動が見られる病気になります。
外から見るとしっかりと眠っているにもかかわらず、大きな寝言を言うことや、ベッドから転落する、一緒に寝ている人を叩いたり蹴ったりしてしまうなどの行動もみられます。これにより、ご本人や周囲の人が怪我を負ってしまうことや、家族の不眠などに繋がることもあるのです。

レム睡眠行動障害は何が原因で発症してしまうのでしょうか?

REM睡眠の間、脳は活動をしているのですが、身体を休めるために全身の筋肉は弛緩している状態になります。しかし、年齢を重ねることでこの筋肉の緊張を弛緩させる神経調整システムが障害され、REM睡眠中の脳の活動と同調して身体も動いてしまいます。
神経調整システムが障害される直接的な原因は明らかにはなっていませんが、加齢の他にもアルコール・睡眠不足などの生活習慣や精神疾患症状の治療で使用される抗うつ薬などの薬剤、頭部の外傷・髄膜炎・脳炎といった炎症性疾患、パーキンソン病・レビー小体型認知症・多系統萎縮症などの神経変性疾患とも関連していると考えられています。

レム睡眠行動障害ではどんな症状がみられますか?

レム睡眠行動障害の症状には様々なものがありますが、REM睡眠中に見ている夢体験と同じ行動をとることが一般的であるといわれています。眠っているにもかかわらず、突然はっきりとしゃべり出す・腕や足などを振り回すような行動が見られる・ベッドから転落する・立ち上がる、というような症状もみられます。
また、一緒に寝ている人を叩く・蹴る・首を絞める、などの暴力的な行動が見られることもあります。睡眠時随伴症状が出ている時に起こすと、すぐに目が覚めて意思疎通がとれ、本人は夢を見ていた内容を覚えていることも特徴です。

編集部まとめ

ベッドで仲良く寝ている若い夫婦
レム睡眠行動障害は、50歳以降の男性に多く、年齢とともに発症のリスクが高まります。誰しも発症する可能性がありますが、症状を軽減できる病気でもあります。

病気の特性上、ご本人は気が付いていないことも多く、一緒に暮らしているご家族やパートナーが悩み、ストレスを抱えてしまうこともあるのです。

ご自身とともに一緒に暮らすパートナー・家族の身の安全を守り、良質な睡眠を得て快適な暮らしを保つためにも、気になる方は専門家にご相談をしてみてください。

参考文献

脳神経の主な病気(日本脳神経学会)

配信元: Medical DOC

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