【五感】味覚で楽しむ絵本3選。食べることから想像力を広げよう

③『ぎょうざのひ』—楽しい食卓の思い出に触れてみよう

かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年(画像提供:偕成社)かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年(画像提供:偕成社)

作者のかとうまふみ氏が、子ども時代の思い出を描いた『ぎょうざのひ』。子どもたちがぎょうざを作り、家族みんなでおいしく食べるという特別な一日を、丁寧に描き出した作品です。

物語は、女の子が学校から急いで帰宅するシーンから始まります。どれほど楽しみにしているかが表情や仕草から伝わり、一気にストーリーに引き込まれるでしょう。

かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年、p.14, 15かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年、p.14, 15

ぎょうざを作る工程が詳しく描かれているだけでなく、日常で交わされる家族のやりとりに親しみを感じられるのが魅力です。

3人のきょうだいが、お母さんに手伝ってもらいながら、料理にチャレンジします。ところが、誰が具材を混ぜるかをめぐって、さっそくけんかが勃発。順番を争うほど、子どもたちが真剣に向き合っている様子が伝わります。

上の画像は、子どもたちが思い思いの形のぎょうざを作る場面です。読者も一緒に作っているような感覚になり、お子さんが「実際にやってみたい」と感じるきっかけになるでしょう。

かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年、p.26, 27かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年、p.26, 27

ついにぎょうざが完成し、一斉に食べ始めると、今度はきょうだいで取り合いに。真剣なふたりとは対照的に、周りで見ている家族は大笑い。温かい日常の風景が浮かび上がってきます。

作者のかとう氏は、家族で取り合うようにして食べるのも楽しかったと振り返っています。(※4)「こどもたちの楽しい食卓の記憶が、もっともっと、ふえていきますように」(※5)という思いが込められた作品です。

料理を作って味わう時間のなかで、けんかをしたり、怒られたりしたことさえも、あとから思い返せば大切な思い出に変わっていく——そんな温もりを感じさせてくれる一冊です。ぜひあなただけの「ぎょうざのひ」を楽しんでみてくださいね。

(※4)参考:vol.80 絵本作家 かとうまふみさん(前編)(mi:te[ミーテ])
(※5)参考:かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2001年、p.33

まとめ:味覚を通してふくらむ想像力

今回は、食べ物が登場する絵本をピックアップし、味覚から想像力が広がる3作品をご紹介しました。

食材への関心が深まったり、家族と囲む食卓の思い出に触れたり——「食べ物」というひとつのテーマから、楽しみ方が広がります。

絵本をきっかけに、いつもの食事の時間が、ほんの少し特別に見えてくるかもしれません。お子さんと一緒に、「どんな味がするかな?」「触ったらどんな感触かな?」とイメージしながら、読み聞かせの時間を楽しんでみてくださいね。

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※本記事の画像は、各出版社に許諾を得た上で、提供いただいた画像およびスキャンデータを作成して掲載しています。

《参考文献》
はらぺこめがね作絵『あげる』佼成出版社、2022年
大森裕子『おすしのずかん』白泉社、2023年(初版:2016年)
かとうまふみ作・絵『ぎょうざのひ』偕成社、2016年(初版:2001年)

《参考記事》
料理を作ることを含めて「はらぺこめがね」という仕事~『みんなのおすし』はらぺこめがね~(ポプラ社 こどもの本編集部 note)
絵本作家・大森裕子さんロングインタビュー。『ねこのずかん』や『いぬのずかん』は、子どもの頃の私がほしかった図鑑です【前編】(kodomoe)
絵本作家・大森裕子さんロングインタビュー。自分で勝手に義務にして、自分で勝手に怒ってた【後編】(kodomoe)
vol.80 絵本作家 かとうまふみさん(前編)(mi:te[ミーテ])

配信元: イロハニアート

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