出生前に、赤ちゃんの遺伝的な異常を見つける検査を受けるか迷っている妊婦さんも多いのではないでしょうか。実際のところ、様々な検査項目があり、どれを受けたらいいのか迷っている人も少なくないでしょう。今回は、出生前診断の検査方法の内容について解説します。「ミネルバクリニック」の仲田先生が各検査のリスクを含め、わかりやすく説明していただきました。

監修医師:
仲田 洋美(ミネルバクリニック)
高知医科大学医学部(現・高知大学医学部)卒業。その後、高知医科大学内科・外科、兵庫医科大学病院臨床遺伝部などで経験を積む。2014年、「新宿ミネルバクリニック」を開院。2018年、「ミネルバクリニック」を北青山に移転、現在に至る。日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
編集部
出生前診断の非確定検査には、どのようなものがありますか?
仲田先生
主におこなわれているのが、クアトロテスト、胎児ドック、NIPTです。クアトロテストは、妊婦さんの血液を採取して、血液中に含まれる4つの成分を調べる検査です。これにより、21トリソミーや18トリソミー、開放性神経管奇形などのリスクを調べます。
編集部
トリソミーとはなんですか?
仲田先生
トリソミーとは、染色体が通常より1本多く、3本ある状態のことです。よく知られている先天的な疾患にダウン症がありますが、これは21トリソミーと言われ、21番染色体が1本余分にあることで発生します。
編集部
続いて、胎児ドックとは何ですか?
仲田先生
超音波(エコー)を使用して、お腹の中の赤ちゃんに健康状態や先天性の異常があるか、調べる検査のことを言います。一般的な妊婦健診よりもさらに詳しく胎児の状態を調べるもので、赤ちゃんの骨や脳、心臓の発達や発育に異常はないか、むくみや形態異常がないか、などを見つけることができます。妊娠中期からは、トリソミーなど染色体異常を見つけることもできます。
編集部
最後に、NIPTについても教えてください。
仲田先生
母体の血液から胎児の染色体異常、主にトリソミーの可能性について調べる検査です。具体的には母体から採血した血液のなかに浮遊しているDNAの断片を測定します。これにより、染色体異常を原因とする疾患リスクを判定するのです。NIPTでわかることは非常に多く、また検査精度が高いのが特徴です。
編集部
検査精度はそれぞれ異なるのですか?
仲田先生
はい。非確定検査のなかでは、NIPTが最も精度が高くなります。クアトロテストの場合、的中率は7割程度とされており、また、年齢が高くなると確率も高く出てしまうというデメリットがあります。加えて、胎児ドックは胎児が先天性異常を持つ可能性が高いかどうかを確認するためのものであり、染色体異常を調べる精度はNIPTに劣ります。
編集部
NIPTの的中率はどれくらい高いのですか?
仲田先生
施設によって幅はありますが、9割以上の的中率とされています。
編集部
これらの検査にリスクはないのですか?
仲田先生
血液を採取するだけなので、特にリスクはありません。もちろん、注射をするときに多少の痛みを感じるかもしれませんが、胎児に対してもリスクになることはありません。
※この記事はMedical DOCにて<「出生前診断」の5つの検査方法とは? NIPTや羊水検査などの精度やリスクを医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

