慢性腎臓病の進行を遅らせる食事療法の基本!塩分やたんぱく質制限のコツを医師が解説

慢性腎臓病の進行を遅らせる食事療法の基本!塩分やたんぱく質制限のコツを医師が解説

慢性腎臓病の治療において、食事療法は薬物療法と並ぶ重要な柱です。腎臓に負担をかける栄養素を適切に制限しながら、必要なエネルギーや栄養を確保することが求められます。病気の進行度に応じた食事管理により、腎機能の低下を遅らせることができます。継続しやすい方法を見つけることも大切なポイントです。

井筒 琢磨

監修医師:
井筒 琢磨(医師)

江戸川病院所属。専門領域分類は内科(糖尿病内科、腎臓内科)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会

慢性腎臓病における食事療法の基本

食事療法は、慢性腎臓病の治療において中心的な役割を果たします。腎臓への負担を減らし、症状の進行を遅らせるために、適切な栄養管理が欠かせません。

食事療法の目的と重要性

食事療法の主な目的は、腎臓にかかる負担を軽減し、腎機能の低下速度を遅らせることです。腎臓は、食事から摂取されたタンパク質の代謝産物や、塩分、カリウム、リンなどを処理します。腎機能が低下すると、これらの物質が身体の中に蓄積しやすくなります。適切な食事療法により、尿毒症の症状を軽減できます。また、高血圧や浮腫、貧血といった合併症の進行を抑える効果も期待できます。さらに、透析導入までの期間を延ばすことにもつながります。

食事療法は、病期や合併症の有無、年齢、活動量などによって内容が異なります。医師や管理栄養士の指導のもと、個々の状態に合わせた食事計画を立てることが大切です。自己判断で極端な食事制限を行うと、栄養不良を招くリスクがあるため注意が必要です。定期的な栄養指導を受けることで、食事内容を見直し、継続しやすい方法を見つけることができます。また、血液検査の結果をもとに、制限の程度を調整していくことも重要です。

病期別の食事管理

慢性腎臓病の食事療法は、病期によって重点が変わります。早期のステージ(G1〜G2)では、腎機能を悪化させる要因のコントロールが中心です。塩分制限と、適正なエネルギー摂取が基本となります。タンパク質の制限は、通常この段階では必要ありません。

中等度の低下(G3)になると、タンパク質の摂取量に注意が必要になってきます。1日あたり身体の重さ1kgあたり0.8〜1.0g程度が目安とされます。塩分は1日6g未満に制限します。カリウムやリンについても、血液検査の結果に応じて調整します。

高度の機能低下(G4〜G5)では、より厳格な管理が求められます。タンパク質は身体の重さ1kgあたり0.6〜0.8g程度に制限されます。塩分は1日6g未満、カリウムは1日1,500〜2,000mg以下、リンは1日800mg以下が目安です。ただし、栄養不良にならないよう、十分なエネルギー摂取が必要です。

透析を行っている場合は、また異なる食事管理が必要になります。透析によって栄養素が失われるため、タンパク質の摂取はむしろ増やします。ただし、透析と透析の間の身体の重さの増加を抑えるため、水分と塩分の管理は重要です。

まとめ

慢性腎臓病は、早期発見と適切な管理により、進行を遅らせることが可能な病気です。健康診断でクレアチニン値の異常を指摘された場合は、速やかに医療機関を受診し、精密検査を受けることが重要です。

食事療法、薬物療法、生活習慣の改善を組み合わせた総合的なアプローチにより、腎臓の機能を守ることができます。定期的な検査で状態を把握し、医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った治療を続けていきましょう。

病気の進行には個人差があり、治療の効果も異なります。不安や疑問があれば、遠慮せず医療スタッフに相談することをおすすめします。適切なサポートを受けながら、前向きに病気と向き合うことが大切です。

参考文献

日本透析医学会「透析療法の現況」

日本腎臓学会CKD 診療ガイドライン 2023

配信元: Medical DOC

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