「血圧の薬で起こる副作用」はご存知ですか?種類別の症状や対処法を医師が解説!

「血圧の薬で起こる副作用」はご存知ですか?種類別の症状や対処法を医師が解説!

血圧の薬の種類別の副作用

ここでは、代表的な4つの種類の降圧薬について、それぞれ特徴的な副作用を解説します。副作用は全員の方にあらわれるものではありませんが、気になる症状が出ている場合は主治医へ相談してみてください。

利尿薬:脱水・頻尿・低カリウム血症

利尿薬は、腎臓に作用してナトリウム(塩分)と水分を尿として排出させる薬です。
「尿を出す」というメカニズム上、トイレの回数が増えたり(頻尿)、水分が不足して脱水気味になったりすることがあります。また、尿といっしょに体内のカリウムやナトリウムが排泄されることで起こるミネラルバランスの崩れ(電解質異常)も見逃せない副作用です。尿といっしょにカリウムも排出するタイプは「低カリウム血症」、カリウムを排出しないタイプは「高カリウム血症」に注意が必要です。
低カリウム血症や高カリウム血症になると、手足のしびれや力が抜ける感じ、脈の乱れなどがあらわれることがあります。血液検査で分かることもありますが、気になる症状があらわれたら主治医へ早めに伝えましょう。
また、特に夏場や運動後など、汗をかいたときは脱水のリスクが高まります。水分制限がなければ、こまめに少量ずつの水分を摂ることを心がけましょう。外出時はトイレの場所を早めに確認しておくと安心です。

Ca拮抗薬:顔のほてり・むくみ・動悸

カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)は、血管の筋肉を広げて血圧を下げる薬です。全身の血管が広がるため、血流が良くなって顔が赤くなったり(ほてり)、頭痛が起きたりすることがあります。また、急に血圧が下がると、体は反射的に心拍数を上げて血圧を戻そうとして動悸を感じることもあります。
また、カルシウム拮抗薬に特有の副作用として挙げられるのが、歯茎が腫れて盛り上がる歯肉肥厚(しにくひこう)です。先ほど解説したむくみは、心臓や腎臓が悪くなったわけではなく、薬によって血管が広がったことが原因です。

ACE阻害薬/ARB:咳・かゆみ・腎機能への影響

ACE阻害薬やARBは、血圧を上げるホルモン(アンジオテンシンⅡ)のはたらきを抑えて血圧を下げる薬です。心臓や腎臓を保護する作用もありよく使われる薬ですが、咳や血管浮腫によるかゆみに注意が必要です。
空咳やかゆみは、ACE阻害薬が効果を発揮する際に、乾いた咳や顔や舌の腫れ(血管浮腫)を起こす「ブラジキニン」という物質が体内で増えるために起こります。空咳は基本的にACE阻害薬でのみ起こる副作用ですが、血管浮腫はARBでも注意が必要です。
また、とくに腎機能が落ちている方や年配の方は、体内のミネラルバランスが崩れてカリウムが増えすぎることがあります。カリウム値は定期的な血液検査で確認しますが、力の入らない感じやしびれが続く場合は主治医へ伝えてください。

β遮断薬:だるさ・太る・抑うつ感

β(ベータ)遮断薬は、交感神経の働きを抑えて心臓を休ませる薬です。不整脈や心不全の方によく使われる薬ですが、だるさをはじめとする副作用が出ることもあります。
たとえば、体の代謝に影響を与えるため、体重が増え、太りやすくなることがあります。これは糖や脂質の代謝が変化するためで、とくに長期間使用する場合は体重管理が重要です。
また、気分が沈む、眠れない、悪夢を見る、だるいといった報告もあります。なお、気管支喘息の既往がある方が服用すると、息苦しさが悪化する可能性のあるものもあるため、呼吸器系の持病がある方は呼吸器系への影響が少ないβ遮断薬が処方されます。
β遮断薬は種類が多く、高血圧以外の持病や脈の状態なども見て、主治医は処方薬を決定しています。持病がある方は必ず伝えましょう。どの副作用も、気になる症状が出た場合は主治医へ相談してください。

「血圧」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高血圧

高血圧とは、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態です。
原因には、遺伝的な体質に加え、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、ストレス、喫煙といったの生活習慣など、複数の要因が大きく関わります。初期にはほとんど症状がありませんが、進行すると頭痛やふらつきを感じることもあります。放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心臓病のリスクが上がるため、血圧を適正な値にコントロールする治療が必要です。
治療の基本は、生活習慣の改善です。1日6g未満の減塩や適度な運動、減量などに取り組みましょう。生活習慣を見直しても血圧が下がらない場合は、薬による治療(薬物療法)を行います。
家庭で測定した血圧が135/85mmHgを超える日が続く、健康診断で指摘されたなどの場合は、症状がなくても内科や循環器内科を受診しましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を送る「冠動脈」が、動脈硬化や血栓で完全に詰まって血流が失われ、心臓の筋肉が壊死する病気です。血管を傷つける高血圧は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞を起こす原因となります。
心筋梗塞になると、胸の激しい痛みや重苦しさ、締め付け感、嘔吐や息切れ、冷や汗などが突然あらわれます。医療機関では、カテーテル治療で詰まった血管を広げたり、血栓を溶かしたりする治療によって心筋への血流を回復させる治療をおこないます。
安静にしていても胸の激痛が20分以上続く場合、冷や汗や吐き気を伴う場合などはすぐに救急車を呼び、設備の整った循環器科を受診しましょう。

狭心症

狭心症は、冠動脈が動脈硬化で狭くなり、心臓への血流が一時的に不足する病気です。心筋梗塞と同様に、血圧のコントロールが悪い状態が続くと狭心症の発作も起こりやすわれます。
狭心症の発作が出ると、胸の圧迫感や締め付けられるような痛みがあらわれます。ニトログリセリンの舌下錠(舌の下に入れて使う薬)を使用すると、心臓の血管が広がって楽になります。
カルシウム拮抗薬やβ遮断薬で心臓の負担をやわらげたり、血圧を適切な値にコントロールしたりすることで、狭心症の発作リスクを下げることが可能です。血栓を防ぐために血液をサラサラにする抗血小板薬もよく使用されます。また、発作がよく起こる場合は冠動脈を広げる手術を検討することもあります。
胸の圧迫感が頻繁に起こる、安静時にも起こるようになったなどの場合は、循環器内科を受診しましょう。

脳出血

脳出血は、脳の中の細い血管が高血圧による圧力で破れ、出血する病気です。出血した血液が脳の神経細胞を圧迫すると機能が失われ、出血部位や量によっては命にかかわるケースもあります。
脳出血が起こると、突然の激しい頭痛、片側の手足の麻痺、呂律の回らなさ、意識障害などが起こります。
医療機関では、血圧を下げて脳への悪影響を軽減する治療や脳のむくみをやわらげる治療、場合によっては血腫を取り除く手術を行います。
激しい頭痛や片側の手足の麻痺、言葉の出にくさなどがあらわれた場合はすぐに救急車を呼び、専門的な治療のできる脳神経外科を受診しましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の表面を走る血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破裂し、脳を覆う「くも膜」と脳の間の隙間で出血が起こる病気です。高血圧、動脈硬化や喫煙なども脳動脈瘤の発生リスクとなるとされています。
くも膜下出血が起こると、「ハンマーで殴られたような」ともいわれる激しい頭痛や嘔吐、意識消失などが起こります。
医療機関では、更なる出血を抑えるために再破裂を防ぐ手術(クリッピング術やコイル塞栓術)をおこないます。できるだけ早く治療を開始する必要があるため、突然の激しい頭痛があらわれたらすぐに救急車を呼び、専門的な治療ができる脳神経外科を受診しましょう。

腎不全

腎不全は腎臓の機能が低下して体内の老廃物や水分を排出できなくなり、体に有害な物質が溜まって体調が悪化する病気です。高血圧は腎臓の細い血管にダメージを与えて、腎機能を低下させます。また、腎臓が悪くなると血圧がさらに上がるという悪循環にも陥ります。
初期の腎不全は無症状ですが、進行するとむくみ、だるさ、貧血、息切れなどがあらわれます。末期になって腎臓の機能がほぼ失われると、人工透析や腎移植が必要です。
治療では、血圧の管理や必要に応じた食事療法(減塩・タンパク制限)、腎臓の機能を助ける薬の処方などがおこなわれます。低下した腎機能を回復させることは困難なため、悪化させないことが大切です。
尿が出なくなった、だるさが続く、検診で尿タンパクやクレアチニン値の異常を指摘されたなどの場合は、内科や腎臓内科を受診しましょう。

配信元: Medical DOC

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