立場逆転で気づいた自分の過ち
職場での人間関係や仕事でのストレスからイライラすることが多くなった杏沙さんを子どもたちが敬遠。もともとやさしく子煩悩だった重徳さんのところへ行き、絵本を読んでもらったりオモチャで遊んでもらったりと楽しそうな3人を目にする機会が増えていきました。「ショックだったのは、仕事で汗をかくことが多かった私に対して子どもたちが『汗臭い』『汚い』などと言ってきたことです。すぐに夫が注意して子どもたちは謝ってくれましたが、すごく悲しい気持ちになりましたし、思い出すと涙が出てしまうこともあります」
そういった出来事があり、杏沙さんは自分の言動がどれほど重徳さんを傷つけていたのかを身をもって体験したのです。そしてやっと夫の気持ちを理解できるようになった杏沙さんですが、子どもたちをやさしく諭す夫を見るたびに胸が痛む毎日だと後悔しています。「子どもたちが夫に酷いことを言っても見て見ぬフリをしたり、冗談のつもりで『パパ、子どもたちが嫌がっているから』などと言って加勢したりしていたことが申し訳ないです。過去は取り消せませんが、それからは夫に思いやりと敬意をもって過ごすようにしています」
自分自身の言動には気づきにくいもの。自然と口から出ている言葉や自分の行動が、誰かを傷つけていないか。振り返ることは大切ですし、やってしまったことは取り消せないということを、肝に銘じておきたいものですね。
―シリーズ「男と女の『ゆるせない話』」―
<取材・文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。

