「料理は生きているということを表現できる」 リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ・日髙良実さんが料理をする上で大切にしていること

「料理は生きているということを表現できる」 リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ・日髙良実さんが料理をする上で大切にしていること

「アカハタのアクアパッツァ」の作り方

今回は、日髙シェフが「アカハタのアクアパッツァ」の調理を実演。内臓とヒレを全て切り取るイタリアやフランス式の調理法を教えてくれた。

「内臓もエラもヒレも全て切り取った後、塩を振って焼いていくのですが、目安としては魚の重要の1%強くらいの塩です。ここで味付けをしすぎるとしょっぱくなる。しょっぱくなったらもう取り戻せないですからね。下味をつけると、塩が浸透してちょっとアクが出てくる。そして、塩味が中にも染み込みます」

塩を振った後、10分程度置くと水分が出てくる。その水分は拭き取ってもいいし、拭き取らずにそのまま料理をしてもいいとのこと。

「次にフライパンを少し温めて、オリーブオイルを入れます。脂がよく出る魚は少なめでいいです。魚に焼き色がついてきたら、魚は丸いので、ちょっと持ち上げて焼けていない面を焼いてください。皮をしっかり焼かないと煮崩れをします。あとはゆっくり低温で焼いていくことが大事です」

フライパンの形状を生かして皮をしっかり焼いていく

皮がカリッと焼けると、少し高い音でブチブチと鳴るそう。その音を合図にひっくり返し、中の方も少し焼く。

「これで両面が綺麗に焼けたので、脂を軽く拭き取ります。いい焼き色が付いたので強火にし、魚が半分隠れるくらいの量の水を入れて、上からかけながら火をゆっくり入れていきます。ハタ自体はなかなか火が入りづらい魚なので、もう一回ひっくり返したほうがいいかもしれません」

その後、アサリを入れて火が入ったら、セミドライトマトも入れる。

「セミドライトマトは、お店で低温のオーブンで2~4時間くらい乾かすのですが、セミドライトマトがないときは、普通のチェリートマトを丸ごと入れてもいいです。魚のイノシン酸のうま味とトマトのグルタミン酸のうま味が相乗効果を生む。だから、1+1が2じゃなくて、4にも5にもなるわけです。最後に、煮汁の3分の1から4分の1の量のオリーブオイルを入れます」

水と油は交わらないイメージがあるが、うま味成分があればうまくつないでくれる。さらに、強火で作れば乳化もするし、身もふっくらと仕上がるという。

「最後にパセリを入れます。これは飾りではなく薬味のハーブです。これで完成です!」

「素材を生かしたイタリア料理」がテーマ

店名を『アクアパッツァ』にした理由は、イタリアで思い出に残った料理だったことにあると日髙さんは振り返る。

「あとは、オープンしたのが1990年で、イタリア料理ブームの始まる時代だったんです。1989年に雑誌『Hanako』でティラミスブーム、90年に『dancyu』でイタ飯天国という言葉が使われた。そして、イタリア料理だけでレストランのガイドブックもできたんです。だから、『アクアパッツァ』とつけたら五十音順で一番上に来る。まあ、それは結果論で、最初から考えていたってネタにしていますけどね(笑)」

そもそもアクアパッツァは漁師の賄い料理だったため、釣って残った魚やあまり市場価値のない魚をサッと焼いて海水を入れて煮るものだったという。

「だから、うちはレストラン料理としてちょっとアレンジをしました。海水を使うわけにはいかないから、海の味がする貝を入れて水と一緒に煮る。いろいろな貝を入れたのですが、アサリが一番味を主張しない。魚の味を引き出してくれるんですよね」

35周年を迎えた『アクアパッツァ』だが、これまでに100人以上のお弟子さんを輩出しているとのこと。

「初めの頃は自分のやり方をみんなに押し付けていました。トマトソースの作り方とか出汁の作り方とか。でも、みんなを管理していると無理が来るとわかったし、それぞれの料理人が勉強をしてきているから、彼らの作るものはおいしい。それならあまり口を出さず、彼らに任せておけばいい。それで業務委託の店が増えていって、日本で14店舗までいきました」

「素材を生かしたイタリア料理」がテーマだったため、日髙さんは最新技術などにはあまり興味がなかったそう。

「そのテーマさえ守ってくれたら、それぞれのシェフの料理を作ってくれていいよという風にしたんです。そうしたら、その土地で採れるものをうまく生かして、みんなが料理をしてくれた。それが全ておいしかったんですよ。だから、そういう場を作ったというのは、多少はあるかもしれませんね」

自身が“人とのつながりの大切さ”をイタリアで学んだからこそ、それをお返しするつもりで実践してきたという。

「私は弟子とは言わずに仲間と言うのですが、そういう仲間たちが全国のいろいろなところにいるというのは、自分にとって宝だなと思いますね」

料理を作る上で大事にしているのは、「食材を無駄にしないこと」と日髙さんは断言する。

「うちは有機JAS認定レストランなのですが、それは全てが有機や無農薬がいいということではない。そういうものを大切に作っている生産者さんもいますし、環境的にそれが不可能な生産者さんもいる。でも、丹精を込めて作っている農作物やお魚などを仕入れさせてもらっていたら、やはり無駄にしたくない。とにかく素材を大切にすることが、一番やり続けていることだと思います」

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