料理は生きているということを表現できる
日髙さんは、YouTubeチャンネル「日髙良実のACQUAPAZZAチャンネル」を2020年からスタートさせた。コロナ禍と“ある騒動”が始めるきっかけとなっている。
「広尾にあったお店でボヤ騒動が起こって、今の南青山に来たのですが、金銭的にも本当にギリギリの状態になったときにコロナ禍になって…。火災のときは被害者意識と加害者意識の両方があってすごくつらくて、お酒を飲んで導入剤を飲んだり、眠れない日が続いたりしたのですが、コロナのときは意外に平気だったんです。みんな苦しんでいるし、もう開き直ったというか…」
通帳を見たらお金はなく、お店も続けていけないかもしれないと大変な状況ではあったが、イタリアンの小林シェフがやっている「Chef Ropia料理人の世界」というYouTubeチャンネルに何度か出演したという。
「実際に出たときにびっくりしたんです。彼のチャンネルに出てアクアパッツァを作ったときにチダイを使ったのですが、どうせわからないだろうと思ってマダイと言ったんです。そうしたら、『マダイじゃなくてチダイだ』とコメントがきたんです。使っていたオリーブオイルもすぐに当てられました」
YouTubeを見ている人がたくさんいることに驚いた日髙さんは、コロナによる緊急事態宣言が出る前にロピアさんに動画を6本撮ってもらい、配信してもらった。
「そうしたら、本当にすぐにお客さんが回復したんです。まだそんなに世の中には出なかったのですが、見てくれた人たちがポツポツと来てくれて、これはもう自分でチャンネルを始めるしかないなって。そこで始めたのがきっかけですね」
35年もやっているとお客さんの層もやや古くなってくるが、30~40代の若い世代の人たちも増えてきていることが、YouTubeを使って料理を広めることのメリットだと日髙さんは考える。
「だんだんネタがなくなってきてはいますが、やはり大事なツールですね。このツールがあるから新しいお客様が来てくださる。35周年パーティーを3回に分けてやったのですが、その中の何人かはYouTubeを見て来てくださった。だから、初めて来てくださる方もパーティーに参加してくださったので、この影響力はすごいと感じましたね」
35周年祝いのお花と共に
料理を作ることと食べること、どちらも好きだという日髙さん。食べることには、“人生の幸せ”を感じるそう。
「作ることは、食べてくださった方が喜んでくれるというのが料理人冥利に尽きますよね。“人を良くする”と書いて“食”とよく言われますが、生きているということを表現できることなんだなと思いますね」
(TEXT:山田周平)
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第57回・第58回(12月19日・26日配信) 日髙良実さん
「リストランテ アクアパッツァ」オーナーシェフ。1957年 兵庫県神戸生まれ。1986年イタリアに渡る。ミシュラン名店で働き、トップシェフの薫陶を受けた後、イタリア郷土の味を研鑽すべく北から南まで14軒で修行。帰国後、1990年『ACQUAPAZZA』オープン、料理長に就任。魚介や野菜など日本の素材を活かしたイタリア料理を提唱。2020年のコロナ禍にYouTube『日髙良実のACQUAPAZZAチャンネル』をスタート(チャンネル登録者は18.4万人/2025年12月現在)。おうちイタリアンの伝道師として、TVなど各メディアで活躍。2022年 厚生労働省認可「現代の名工」に選出。著書に『アクアパッツァ・日髙良実シェフのごちそうイタリアン』『アクアパッツァ流 イタリアンを極める 日髙シェフのおいしい理由』『教えて日髙シェフ!最強イタリアンの教科書』ほか多数。
YouTube:日髙良実のACQUAPAZZAチャンネル
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クックパッド株式会社 小竹 貴子
クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。
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