■厳しさの中に感じた親からの愛情「世間はもっと冷たいし、反対なんかしてくれる人もいなくなる」
ーー前作に引き続き今作でも、とても厳しかったというお父様のエピソードが印象的に描かれています。親御さんだったら我が子につい厳しい言葉を投げてしまうこともありますが、厳しさの中にある親の愛情を理解できるようになったきっかけ、転機などはありましたか?
川上:自分が音楽で飯を食っていくっていうことを目指した時点で、親が反対する、親に厳しく言われるっていうことはもう想像がつくんですよ。自分の親じゃなかったとしても、大抵の親は、応援するスタンスであろうとも心配はするだろうし。だから、そこはもう自分の中で理解していましたね。
厳しい親だから当然でもあるんですけど、でもその時に、むしろこの親を説得することができたら…こんな厳しい親を説得することができないと、世間様を説得することなんてできないと思ったんです。だからそこは、いい意味で壁だと捉えました。心配してくれることもありがたいわけだから、そこに愛情を感じたし、説得しなきゃって思ったきっかけです。
自分はまだ親になった経験はないですが、親になったとしたら絶対に心配も反対もするだろうし。反対すること自体が一つの応援だと思うんです。僕もラジオなどで、親御さんや、反対に学生さんからも相談を受けることがあるのですが、どちらにも「それは当然だから全然いいと思いますよ」と言っているんです。親を見返すとか、説得するとか、どんな方法でもいいんですけれど、成功さえすればころっと手のひらを返してくるからって。
むしろそれでへこたれるくらいだったらそれまでだと思う。もっと厳しいですからね。世間はもっと冷たいし、反対なんかしてくれる人もいなくなる。だから僕は、有難いくらいの気持ちです。
mamagirl読者のみなさんに向けて言うと、もしお子さんのことで心配することがあったら、心配するのは当然のことだし、厳しくしてもいいと思っています。“見返してやる”っていう努力のきっかけにもなるので。

ーー最後に、mamagirl読者層でもある30代からアラフォー世代に向けてメッセージをお願いします。
川上:本当にお疲れ様です。育児をされている方に僕が何かを言える立場ではないのですが、それとは関係なく、生きているとか、毎日一生懸命していることがあるっていうことに関しては同じだと思うので、頑張ろうよー!っていう感じですかね。僕は日常で、色んな喜びみたいなものを見つけるのが得意なんです。
本当にちょっとしたことで、アイスコーヒーがおいしいお店を見つけるとか、もうそんなんでよくて(笑)。天気がいいなぁとか、天気が悪くても、そこまでひどくないなぁって。かなりポジティブなんです。なぜかというと、ネガティブになろうと思えばなれるじゃないですか。それと同じように、ポジティブになろうと思えばなれる。楽観主義なんですけどね(笑)。
何があっても生きてりゃ大丈夫でしょうっていうところがあるので、日常のなんてことない日に、楽しいことを見いだしていくのが大事だなと思っています。何かめっちゃ大きいイベントがなくても、小さなことが積み重なって人生が楽しくなったりすることはあると思います。

すーっと撮影現場に現れた川上さん。カメラテストでは、写真をチェックしながら照明の当たり方や設置位置にこだわりを注いでいました。そのおかげで撮影はスムーズに進行!滑らかにポーズを変えながら、場の空気を“川上色”に染めていたのが印象的でした。インタビューでは穏やかに、そしてにこやかに様々なエピソードを丁寧にお話しいただきました。
そんな川上さんの姿にクリエイター魂を感じたのと同時に、“神は細部に宿る”を痛感しました。セルフインタビューするように綴ったという『次幕』。川上さんの視点や、“いま”に触れることで、より愛おしさが増すはずです。
撮影・取材・文/mamagirl編集部
■プロフィール

川上洋平(かわかみ・ようへい)
1982年6月22日。神奈川県相模原市出身。[Alexandros]のボーカリスト&ギタリスト。
音楽活動に加えて、執筆、ラジオパーソナリティ、俳優としても活動。2022年9月にエッセイ「余拍」を上梓。2026年1月30日(金)公開の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の挿入歌「ENDROLL」に参加。

