タレントのデヴィ夫人ことデヴィ・スカルノさんが、自身のマネジャー(当時)に対する傷害の疑いで書類送検されたと報じられました。
報道(日テレNEWS NNN、1月23日)によると、デヴィ夫人は2025年10月、飼い犬の治療をめぐり病院側に抗議したことを仲裁したマネジャーに対して、殴ったり蹴ったりする暴行を加え、その結果女性に全治2週間のケガを負わせた疑いがもたれています。
デヴィ夫人は、警視庁の任意の取り調べに対し、マネジャーにケガをさせたことを否認しているそうです。
書類送検とはどのような手続きでしょうか。また、事件が起きたのは2025年10月なのに、なぜ今(2026年1月)になって書類送検されたのでしょうか。簡単に解説します。
●事件は2025年10月なのに、なぜ今書類送検?
逮捕されて身柄を拘束される事件ばかりではありません。傷害罪のような事件でも、逮捕されなかったり、逮捕されても勾留されずに釈放されたりすることは特に珍しくありません。
筆者の経験でもそういうケースはありますし、弁護士向けの実務書である「季刊刑事弁護 増刊 情状弁護Advance」(現代人文社、2019年10月)には、次のような記載があります。
「傷害罪の場合は、もともと被害者と面識がなく酔余の末にケンカをしてしまった等の偶発的に発生したケースでは勾留されない場合も多い。他方、被害者との関係や傷害結果の重さによっては、勾留されることもある」(同p218)
このように身柄を拘束しない「在宅」での捜査の場合、警察は時間をかけて証拠を収集し、捜査を進めます。その結果、事件から数カ月後に書類送検されることは珍しくありません。
今回のデヴィ夫人のケースも、このような在宅での捜査が続けられた結果、事件から3カ月後の書類送検に至ったものと考えられます。
では、そもそも「書類送検」とはどういった手続きなのでしょうか。基本的な仕組みを解説します。
●捜査したら原則として「送検」しなければならない
刑事訴訟法246条本文は、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない」と定めています。
要するに、警察は犯罪の捜査をしたら、わずかな例外を除いて、原則として事件を検察に送る必要があります。これを専門用語で「全件送致主義」と呼びます。
送検には、被疑者が逮捕されている場合と、逮捕されていない場合があります。
逮捕されている被疑者の事件(身柄事件)の場合、警察は48時間以内に、被疑者の身柄とともに書類や証拠物を検察官に送致します(身柄送検)。
一方、逮捕されていない被疑者の事件(在宅事件)では、48時間という制限はありませんが、同じく刑事訴訟法246条に基づき、警察は書類や証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません。これが一般的に「書類送検」と呼ばれています。
繰り返しになりますが、警察が犯罪の捜査をした以上、原則として送検されるのは、制度上は当然です。今回のデヴィ夫人のケースも、この一般的な手続きに沿って処理されたものといえます。
したがって、「送検された=有罪になる可能性が高い」とか「送検された=嫌疑が濃厚」という意味があるわけではありません。この点は、ニュースを読み解くうえで注意が必要です。

