モスフードサービスは、次世代型店舗開発に向けたAI活用の第一弾として、New Innovationsと共同でAIドライブスルーの実証実験を開始した。外食産業で深刻化する人手不足への対応と、接客品質・店舗オペレーションの高度化を目的とした取り組みで、埼玉県のモスバーガー吉川美南店を皮切りに、2026年度中に計5店舗で検証を進める。
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今回導入された音声対話AIシステム「AI Order Thru」は、New Innovationsが開発したもの。エンジン音や環境音などのノイズ環境を想定し、マイク・スピーカーなどのハードウェアとノイズ対応に特化したAIモデルの両方を自社で設計している。
今回の実証実験では、AIが注文を受け、店舗スタッフが必要に応じてサポートする「ハイブリッド応対」を採用。AIと人が協働する運用モデルを構築する点が特徴だ。
〈モスが重視する“ホスピタリティの進化”〉
1月21日には、埼玉県のモスバーガー吉川美南店にて、AIドライブスルーの実証実験に関する記者説明会・体験取材会を開催した。
体験会に登壇したモスフードサービス ストアイノベーション室 室長の濱崎真一郎氏は、外食産業の人手不足が今後さらに深刻化するとの見通しを示し、「AIと人が協働することで接客技術を向上し、モスバーガーが大切にする“ホスピタリティの進化”をめざす」と語った。
AI受注によりドライブスルー対応に割く人員を減らし、店内接客や調理など“人が価値を発揮できる領域”にリソースを再配分する狙いがあるという。完全な無人化ではなく、段階的な効率化を進める方針だ。
〈完全無人化ではなくAI×人の「ハイブリッド応対」へ〉
また、ファストフード業界のドライブスルーにおいてAI音声注文は欧米を中心に導入例があるものの、認識精度の低さが課題として指摘されている。
New Innovations代表取締役Co-CEOの山田奨氏は、海外でAIドライブスルーが撤退した例に触れ「導入のタイミングが早すぎたこと、完全無人化を急ぎすぎたことが課題だった」と指摘。そこで、今回の実証実験では、AIと人が協働する「ハイブリッド応対」という新しいコンセプトを設計した。基本的にはAIが注文を受けるが、想定外の質問や認識ミスが起きた際には人がサポートすることで、注文の正確性を担保する。
山田氏は「コスト削減や省人化だけではなく、接客品質を高めるためのハイブリッド応対をめざす。ドライブスルーを改善して終わりではなく、小さな効率化を積み重ねていくことで、最終的には人手不足の解消につながるような仕組みも実現していきたい」と述べた。

