蒸溜が進行する時間そのものを共有
蒸溜体験教室は、前半に蒸溜の背景や使用する素材について触れ、後半にかけて、実際の蒸溜に立ち会いながら香りや変化に向き合う時間へと移っていく。
全体として、工程を学ぶ場というよりも蒸溜が進行する時間そのものを共有していく。

京都の町家空間で、木や土、紙といった素材に囲まれながら過ごす蒸溜の時間は、香りだけでなく空間や音、気配を含めた体験となるだろう。
体験中は、対話を交えながら進む時間と、言葉を挟まず静かに蒸溜の様子を感じる時間が交互に訪れるという。植物の香りが抽出される際に生まれる音は、沸騰する湯の気配にも近く、そのリズムはどこか茶室で過ごす時間を思わせる。香りだけでなく、音や間を含めた感覚に身を委ねる時間は、メディテーションに近い印象かもしれない。
香りについても、自然に立ち上がるものを受け取るだけでなく、意図的に香りと向き合う時間が設けられている。蒸溜の進行に伴い移ろっていく香りを五感で体験し、その日の蒸溜液は200ミリリットルの小瓶に詰めて持ち帰ることが可能だ。

上の写真は、蒸溜を終えた液体を小瓶に詰め、ロウ付けを施す体験教室の仕上げの工程だ。
香りに興味のあるすべての人に
蒸溜体験教室は、特定の知識や経験を前提としたものではない。一般の人を中心に、香りに興味のある人、植物やものづくりの過程に関心のある人に広くひらかれている。
また、飲食やバーに携わる人にとっては、香りがどのように抽出され液体として形づくられていくのかを、製造の現場で体感する機会にもなるだろう。
