別れ話の場に現れた神田は、咲良の姿を見て凍り付く。往生際悪く言い訳を重ねる神田に対し、香澄は凛とした態度で拒絶を突きつけた。かつての「理想の夫」の仮面が剥がれ落ち、最低な男の本性が白日の下にさらされる。
さわやかな笑顔に不快感が増す
日曜日の午後2時。カフェのテラス席に近いテーブルで、私と香澄は並んで座っていました。 香澄の手は小さく震えています。 「大丈夫、私がついてるから」 私はテーブルの下で妹の手を握りました。
数分後、カジュアルな服装の神田さんが、軽い足取りでやってきました。
「香澄、待たせてごめん!仕事が予定より早く終わってさ……」
満面の笑み。その笑顔が、あまりにも巧妙で反吐が出そうでした。
正体を明かすとき
神田さんは、私の姿に気づくと、一瞬だけ怪訝そうな顔をしました。
「……あれ?香澄、お友だちも一緒なの?」
「友だちじゃないよ。私の姉」
香澄の声は冷え切っていました。 私がゆっくりとサングラスを外すと、神田さんの表情が凍りつきました。
「……神田さん。お久しぶりです」
「え……っ、な、なんで……咲良さん……?」
神田さんの顔が、見る見るうちに土気色に変わっていきました。 状況を把握しようと、視線が泳いでいます。建設現場で鍛えられたはずの体が、小刻みに震え始めました。

