咳止めで一時的に治まったのに、薬をやめたらまた咳が……。そんな子どもの咳(せき)に悩む親は少なくありません。じつは、咳には体を守る大切な役割があり、原因によっては薬だけでは根本解決にならないことも。しばキッズクリニックの柴先生に詳しく聞きました。
≫【1分動画でわかる】「薬で止まったが、服用やめたらまた出始めた…」 原因を医師が解説

監修医師:
柴 徳生(しばキッズクリニック)
群馬大学医学部医学科卒業。群馬大学医学部附属病院小児科、藤岡総合病院小児科、前橋赤十字病院小児科、桐生厚生総合病院小児科、群馬大学医学部附属病院小児科助教、横浜市立大学附属病院小児科講師、横浜市立大学附属病院輸血・細胞治療部部長、横浜市立大学附属病院再生細胞治療センターセンター長、横浜市立大学附属病院小児科准教授などを経て2024年しばキッズクリニック院長。横浜市立大学小児科学客員准教授。
咳止めを止めたらまた咳が出たのはなぜ?
編集部
咳止めを飲んで治まったのに、やめたらまた咳が出ました。どうしてですか?
柴先生
咳止めはあくまでも一時的に症状を抑える薬であり、病気を治すものではありません。たとえば風邪や気管支炎などの場合、咳止めで一時的に咳が治まっても、体内で炎症が続いていれば、薬をやめた後に再び咳が出ることがあります。つまり咳止めを使用して咳が止まったのは、病気が治ったのではなく「咳を一時的に止めていただけ」の状態だった可能性が高いのです。ただし、咳止めの効果はそもそもそれほど強くないので、まったく止まらないことも少なくありません。
編集部
咳が治まっても、治ったわけではないということですね。
柴先生
はい、子どもの病気はどんどん症状が変化していきやすく、上気道炎が治まったと思ったら、今度は下気道炎に拡大した、ということもあります。また、コロナウイルスとインフルエンザウイルスなど、複数の病原体が一度に絡んでいることもあります。そのため、一つの症状が治まっても、また次の症状が出てしまうということがあるのです。
編集部
薬で症状が隠れてしまい、治るタイミングを逃すこともあるのですか?
柴先生
その可能性もあります。咳は、体が異物を排出しようとする大切な防御反応です。咳止めで咳が止まると、かえって痰(たん)がたまりやすくなり、回復が遅れることもあります。とくに子どもは痰を上手に出せないため、無理に咳を抑えることで症状を長引かせてしまうケースもあります。
編集部
そもそも、咳はなぜ長引くことがあるのでしょうか?
柴先生
多くの場合、咳が出るのは風邪などのウイルス感染が原因ですが、気道の粘膜が傷ついたり、過敏になったりすると、ウイルスが除去された後でも咳だけが長引くことがあります。このような症状を気道過敏や感染後咳嗽(がいそう)と呼ぶこともあります。治ったと思ってもぶり返すのは、このような状況が関係しているのかもしれません。
咳が出始めたらどうしたらよい? 受診の目安は?
編集部
子どもが咳をし始めたら、家庭でどう対応すればいいですか?
柴先生
まずは安静と保湿、こまめな水分補給を心がけましょう。部屋の湿度を保ち、冷たい空気を吸わせないようにすることも大切です。発熱がなく、いつもと変わらずに元気にしていれば、様子を見るのもよいかもしれませんが、咳がつらそうなときは早めに医師に相談しましょう。安易に市販薬に頼る前に、原因を見極めることが重要です。
編集部
どんな咳のときに受診が必要ですか?
柴先生
受診の目安として、咳がひどくて寝付けない、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューしている、息苦しさがある、顔色が悪い、水分が取れない、発熱が続く、といったことが挙げられます。とくに乳幼児や喘息の既往がある子どもは悪化しやすいため、早めに受診するようにしましょう。
編集部
熱はないのですが咳だけが続く場合でも、受診した方がよいのでしょうか?
柴先生
はい、熱がなくても咳が続く場合は、受診をおすすめします。とくに咳だけが何週間も長引くようであれば、気管支喘息や百日咳、副鼻腔炎など、風邪以外の病気が隠れていることもあります。このような病気は治療法が確立されていますから、早めに受診することで、悪化を防ぐことができます。

