「訪問を控えてほしい」という涼香のサインをムシし、律子は「涼香は育児ノイローゼかも」と決めつける。さらに、強引に奏斗を風呂に入れるなど、介入はエスカレート。律子の存在が家事を増やし、涼香を追い詰めていき…。
遠まわしに「こなくていい」は通じない
「ねえ、律子。いつも来てくれてうれしいんだけど、仕事、大変じゃない?」
週に2回、多い時は3回もやってくる律子に、私はやんわりと切り出しました。
「仕事?そりゃあ、つかれるよ。でもね、家で一人でじっとしてるより、ここに来て時間を過ごしたほうが、私にとってはリフレッシュになるの!」
彼女は、奏斗の離乳食の準備をしている私の横で、スマホをいじりながら笑います。
「でも、夜遅いのは悪いし……。律子だって、明日の仕事があるでしょ?」
「大丈夫だってば!涼香こそ、浩二さんがいない夜に、一人でいたら不安でしょ?私、保育士だし、何かあったらすぐ、対応できるから安心でしょ?」
わが子のお風呂も強引に入れられ…
そう、彼女はいつも「私が不安だろうから」「私が助けてほしいだろうから」という前提で話を進めるのです。
実際、私は一度も、「不安だから来て」なんて言ったことはありません。 むしろ、一人で黙々と家事をこなしたい時の方が多いのです。
ある日、律子が、来年のクラスの担任希望のために、「奏斗くんの成長記録をつけさせて」と言い出しました。
「手伝うついでに、勉強もさせてほしいの!ほら、お風呂も私が入れてあげるから。涼香は、その間に明日の準備しちゃいなよ」
「えっ、お風呂は私がやるから大丈夫だよ」
「遠慮しないで!プロに任せなさいって」
強引に奏斗を連れて、お風呂場へ向かう律子。 脱衣所から聞こえる、奏斗の泣き声。いつもとちがう入れ方に、戸惑っているのかもしれません。

