中皮腫の治療法
胸膜中皮腫の治療は、手術が可能かどうかや、患者さんの年齢や体力に合わせて決定されます。手術や薬物療法、放射線治療などを単独あるいは組み合わせた集学的治療が行われます。
外科治療
胸膜中皮腫で、切除が可能と判断される症例に対しては、外科的切除が選択される場合があります。がんを完全に治療する目的(根治目的)としては、胸膜切除/肺剥皮術(P/D)と胸膜肺全摘術(EPP)があります。P/Dは、胸膜のみを切除し、肺は残す手術です。一方、EPPは肺と胸膜を全て切除する手術です。眼に見える、あるいは触れてわかるような腫瘍を全て取り除き、肉眼的に完全切除を目指すことを目標とします。
呼吸器外科や胸部外科医が手術を行います。入院期間は10〜20日程度と考えられます。
薬物治療
胸膜中皮腫の薬物治療は、手術などと組み合わせた集学的治療として行われる場合と、手術が不可能な場合に行われる場合があります。中心となる薬は、シスプラチンとペメトレキセドです。手術が不可能な場合には、シスプラチン+ペメトレキセド併用療法の他に、ニボルマブ+イビリムマブ併用療法も一次治療として選択されます。
薬物療法は呼吸器内科や外科、 腫瘍内科などで行われます。薬物投与自体は外来通院でも可能な場合が多いと考えられます。
放射線治療
EPPを受けた患者さんに対する胸部への放射線治療が、ガイドラインでは弱く推奨されています。
また、中皮腫が身体の他の部位に転移し、痛みや麻痺などの症状がある場合には緩和的な放射線治療が行われることもあります。
「中皮腫」についてよくある質問
ここまで中皮腫を紹介しました。ここでは「中皮腫」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
中皮腫の生存率はどれくらいなのでしょうか?
羽田 裕司 医師
全国がんセンター協議会による2021年の調査があります。その結果、中皮腫の5年後の生存率は、がんの進行度によって異なり、初期のステージⅠで約25%、ステージⅡで約22%でした。進行したステージⅢやⅣでは、それぞれ約6%前後と、いずれの段階でも生存率が低く、予後が厳しい病気であることがわかっています。
まとめ
今回の記事では、中皮腫の中でも頻度の高い胸膜中皮腫について解説しました。
胸膜中皮腫は早期段階では症状が乏しいことも多いです。そのため、定期的な健康診断を受けることも大切と考えられます。また、過去にアスベストに曝露した可能性があるかもしれない方は、専門の相談期間や医療機関に一度相談してみましょう。
「中皮腫」と関連する病気
「中皮腫」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器内科・外科系
肺がん石綿肺(じん肺)
びまん性胸膜肥厚
良性石綿胸水
中皮腫はアスベスト曝露と関連があるアスベスト関連疾患の一つと考えられています。その他のアスベスト関連疾患には上記のようなものがあります。
「中皮腫」と関連する症状
「中皮腫」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
咳
胸痛背部痛
呼吸困難感
胸部圧迫感
腹部膨満感
胸のしこり
お腹のしこり
発熱体重減少
寝汗胸膜中皮腫や腹膜中皮腫では上記のような症状が現れることがあります。しかし、これらの症状は中皮腫に特異的というものではありません。気になる症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。
参考文献
肺癌診療ガイドライン2024年版
悪性胸膜中皮腫診療ガイドライン2024年版
Mesothelioma – Symptoms and causes – Mayo Clinic
Q79 胸膜中皮腫とはどのような病気ですか|日本肺癌学会
中皮腫について|独立行政法人 環境再生保全機構
悪性胸膜中皮腫 | 国立がん研究センター 希少がんセンター
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