咲良は証拠を盾に、神田に一生をかけて妻子のために尽くすよう誓わせる。香澄は再出発のため転職し、里奈は何も知らぬまま夫の改心を喜ぶ。誰も傷つけないための「嘘」を抱え、咲良は親友の日常を守り抜くのだった。
私の怒りは収まらない
神田さんは、逃げ出すように立ち上がろうとしました。でも、私はそれを許しません。
「座って。まだ話は終わってない」
私の冷徹な声に、彼はビクッと肩を揺らして座り直しました。
「今回のこと、里奈にはまだ言わないであげる。でも、条件があります」
神田さんは縋るような目で私を見ました。
「今後の態度次第では、全部言います。少しでも里奈や子どもをないがしろにしたり、また他の誰かと浮ついた真似をしたりしたら……その時は、この事実を里奈や周囲の方にもバラしますよ」
私は机の上に、録音中のスマホを置きました。
しっかりと釘は刺した
香澄は強く言いました。
香澄「今回の件で慰謝料はいりません。その代わり、一生かけてご家族に尽くしてください」
沙良「こんなに妹を傷つけて…私、絶対許しませんから」
神田さんは何度も深く頭を下げ「すみませんでした」と消え入るような声で繰り返しました。 その姿には、かつての「頼れる夫」の面影は微塵もありませんでした。
店を出た後、外の空気を吸うと、香澄が大きく深呼吸をしました。
「お姉ちゃん、ありがとう。一人だったら、また丸め込まれてたかもしれない」
「いいのよ。これで、悪い縁は切れたんだから」
結局、里奈には今のところは何も話していません。彼女が一生懸命に守ってきた家庭…そして生まれたばかりのお子さん。その日常を今は守るべきだと思ったのです…。

