腹痛や便通に慢性的に悩まされているという方も多いのではないでしょうか。もしかしたら、過敏性腸症候群(過敏性腸炎)にかかっているのかもしれません。
過敏性腸症候群は以前過敏性腸炎と呼ばれた疾患で、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じたりする病気です。
何らかの原因により腸内に異常が発生し、過敏になっていることで症状が発生していると考えられています。
今回は、過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の検査や治療の内容を紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「過敏性腸症候群(過敏性腸炎)」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の診断と治療

過敏性腸症候群(過敏性腸炎)を疑った場合は何科を受診すれば良いですか?
過敏性腸炎は腸及び胃に関連する病気であるため、消化器系の治療をしてくれる科に相談するのが適切です。具体的には以下のような科で受診すると良いでしょう。
消化器科
内科
胃腸科
しかし、下痢や便秘の症状が現れたからといっても過敏性腸症候群(過敏性腸炎)にかかっているとは限りません。同様の症状が表れる病気は他にもたくさんあります。
専門的な診療を受けて、適切な科で治療を受ける必要がある場合も考えられます。
診断ではどのような検査をするのでしょうか?
過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の診断を受ける際には、自覚症状の有無を確かめる「RomeⅣ基準」が基本になります。具体的には、排便の回数や便の形状の確認・排便と腹痛の関係性の確認などの問診を行い判断するのが一般的です。更に詳しい診断を必要とする場合には、以下のような検査を実施します。
血液検査
便潜血検査
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
これらの検査は、大腸がんや潰瘍性大腸炎など、過敏性腸症候群(過敏性腸炎)とは異なる他の病気にかかっていないかを判断するために実施します。
検査の結果、他の病気の疑いが発見された場合には、それぞれの病気に適応した治療を進めていくのが基本的な対策です。
過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の治療方法を教えてください。
過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の治療方法は、生活習慣の改善をベースに進めていきます。食事の内容を改善することや日常な運動習慣を取り入れつつ、薬物療法を組み合わせて治療効果を確かめていきます。食事療法では、辛い物など刺激物を避けながら、腸内環境を整えるための食物繊維を積極的に摂取しましょう。
運動療法では、日常に継続できる運動を行い、腸の蠕動運動を促進する事を目指します。
薬物療法では、神経伝達物質やセロトニンをコントロールして適度な便通を促します。さらに、便に含まれる水分の量を調節するための薬品を取り入れたり、乳酸菌製剤及び緩下剤などを用いたりする方法を採用することが多いです。
食事治療においては、低FODMAP食も有用とされています。FODMAP食とは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称のことです。
編集部まとめ

過敏性腸症候群(過敏性腸炎)にかかっている人は意外に多いことが分かっています。本人に自覚がない方も多いといわれている病気です。
下痢や便秘などの症状は日常に起こるためいつもの事だと諦めている方でも、過敏性腸症候群(過敏性腸炎)にかかっている可能性があります。
現代社会特有のストレスの多い生活環境において、過敏性腸症候群(過敏性腸炎)は多くの方が経験する病気であると考えられます。少しでも胃腸に異常を感じた場合は、早めに相談することがおすすめです。
過敏性腸症候群(過敏性腸炎)の原因の多くは、ストレスであるといわれています。趣味をみつけて楽しむなど、ストレスをため込まない生活を心がけることが症状を予防するポイントとなるでしょう。
参考文献
過敏性腸症候群(IBS)ガイド|日本消化器病学会ガイドライン

