美容室でのヘアカラーやカットをめぐって、「お願いしたスタイルとまったく違う仕上がりにされた」という体験談が、SNSで相次いで投稿されています。
「とんでもヘアメされて震えた」
「男性スタッフさんがどんどんリボン付けていった謎ヘアメ今思っても謎、これは、なに?」
「信頼してるいつも通ってた美容師さんだったけど色違いすぎてこれ以来行けてない、、、」
美容室でオーダーする際、モデルの写真を見せて理想の髪型や色合いを伝える人は多いでしょう。それだけに、期待していた仕上がりと大きく違ったときのショックは小さくありません。
SNSには、完成前後の写真とともに悲惨な体験談も数多く投稿され、共感が集まっているようです。中には、あまりの衝撃から、長年通っていた美容師のもとへ足が遠のいてしまったという人もいました。
では、美容室で注文内容と異なる髪型やヘアカラーにされた場合、店側に「無料でのやり直し」や「返金」を求めることはできるのでしょうか。
また、どの程度の違いであれば法的な問題になり得るのでしょうか。消費者問題にくわしい西塚直之弁護士に聞きました。
●ポイントは「美容師の裁量」を逸脱しているか
──美容室や理容室で、注文内容と異なる髪型やヘアカラーにされた場合、無料でのやり直しや返金を求めることはできますか。
まず、美容師には一定の裁量があると考えられています(神戸地裁平成22年10月7日判決)。その裁量の範囲を逸脱しているかどうかが、判断の分かれ目になります。
たとえば、カタログや写真を見せて「こんな髪型にしてください」とオーダーすることがあると思います。
この場合、美容師は利用客のオーダーの趣旨に沿って、その内容をできるだけ実現するよう裁量をもって仕事をすることになります。このとき、オーダーが具体的で詳細であればあるほど、美容師の裁量の幅は狭くなり、逆に「お任せ」など抽象的な内容であれば裁量の幅は広くなると考えられます。
●ハードルの高さは「やり直し」<「返金」
──どの程度の差や違いであれば、法的な問題が生じるでしょうか。
クレームを入れる場合でも、主観的に「おかしい」「思っていたのと違う」ということだけでは足りません。客観的に見て「明らかにおかしい」と言えるかどうかが重要です。
多くの美容室では、技術保証期間を設けており、その期間内であればサービスとして無料のやり直しに応じていることが一般的です。
保証期間は店ごとにまちまちなので、店に確認する必要がありますが、施術から時間が経過していると、施術とは別の原因で不具合が生じていると判断されることがあります。
この場合、技術保証の対象外になる可能性があります。やり直しを希望する場合は、できるだけ早めに美容室へ相談することが大切です。
一方、返金を求めるハードルは、やり直しよりも高いと言えます。
美容室側がミスを認めて返金を申し出た場合はもちろんですが、たとえば「カラーの色むらが激しい」「カットの左右差が極端」といったように、利用客のオーダーの趣旨がまったく実現されておらず、物理的にやり直しも難しいと評価できる場合には、返金を求めることができると思います。

