千葉大学医学部附属病院と理化学研究所生命医科学研究センターの研究員らは、iPS-NKT細胞を用い、頭頸部がん患者へ投与する治験を実施しました。iPS-NKT細胞を投与された8名のうち5名では、治験期間中に腫瘍サイズが安定しており、そのうち2名では腫瘍の増大を抑える効果が認められました。この内容について渡邊医師に伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
研究グループが発表した内容とは?
編集部
千葉大学医学部附属病院と理化学研究所生命医科学研究センターの研究員らが発表した内容を教えてください。
渡邊先生
今回紹介する研究報告は、千葉大学医学部附属病院と理化学研究所生命医科学研究センターの研究員らによるものです。再発性頭頸部がん患者を対象に、iPS細胞から作製した「iPS-NKT細胞」の安全性と有効性を検証する第1相のヒト初回臨床試験を実施しました。主要評価項目は「DLT=用量制限毒性の発現率」で、副次評価項目として安全性・有効性および免疫学的動態を評価しています。iPS-NKT細胞は10人に動脈内投与され、2回目の投与時に1人でグレード3の皮膚発疹が確認され、DLTと判定されましたが、その後に回復しました。その他重篤な有害事象は認められませんでした。また、2人では腫瘍の進行が抑制され、メモリー型およびエフェクター型CD8+T細胞のクローン増殖や、IFN-γシグナル伝達経路の活性化が観察されました。
研究テーマになった頭頸部がんとは?
編集部
今回の研究テーマに関連する頭頸部がんについて教えてください。
渡邊先生
頭頸部は、呼吸や食事といった生命維持に欠かせない機能に加え、発声、味覚、聴覚など日常生活の要となる働きが集中する部位です。頭頸部がんになると、話す・食べる・息をするといった当たり前の行動が損なわれやすく、仕事や対人関係にも影響しやすいのが特徴です。そのため治療では、がんを治すこととQOLの両立、顔面形態や表情など整容面への配慮が重要です。危険因子として喫煙や飲酒、口腔内の衛生状態が関わり、一部は中咽頭がんとHPV、上咽頭がんとEBウイルスのような関連も注目されています。日本頭頸部癌学会も禁煙・節酒を呼びかけています。頭頸部がんと食道がんなど、ほかの部位のがんが重複して起こることもあるため、治療後も定期的に検診を受けましょう。

