光と音が先に届き、絵があとから立ち上がる
会場に足を踏み入れた瞬間、まず“空気が変わる”のを感じます。光と音が先に身体へ届き、作品がゆっくりとその奥から浮かび上がってくる。
会場のようす
クリムトの場面では、黄金の粒子が壁全面に広がり、光のわずかな揺れが金箔の呼吸のように見える。そこに重なるのは、19世紀末ウィーンの祝祭性を思わせる華やかな響き。鑑賞者の歩く速度すら変えてしまうほどの音の力で、“絵の前に立つ”というより、黄金の渦を泳ぐ体験になります。
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《ベートーベン・フリーズ》が“動いて見える”理由
特に圧倒的なのが《ベートーベン・フリーズ》です。実物はどうしても「高い位置の絵を見上げる」構造になりがちですが、ここでは壁面全体で再現され、作品がクローズアップで展開されるため、自分がフリーズの内部に入り込んだような没入感が生まれます。
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女性像の横顔、怪物たちの影、金色のうねりらが視界をゆっくり横断し、静止画なのに“動いて見える”不思議。これは、音楽と光が作品の内部に流れていた“時間”を呼び戻しているからです。絵画鑑賞というより、音と視覚が混ざり合う総合芸術の体験に近い。
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