長年続いてきた同窓会の「会費」の一部を、幹事がネコババしていた──?
SNSに投稿された、ある女性の体験が話題になっています。女性は、学生時代の友人たちと、毎年のように同窓会を開いてきました。
幹事はいつも同じ友人がつとめ、会場選びや日程調整などを引き受けてくれていたといいます。会費についても、参加者は特に疑問を抱くことなく、幹事である友人に提示された金額をそのまま支払ってきました。
ところがあるとき、女性は、実際に店に支払われている金額が、参加者から集めた会費よりも数千円ほど低いことを知ったそうです。毎回、数万円の差額が生じている可能性に気づき、女性は、同級生たちに打ち明けるべきか悩んでいるとのことです。
この投稿には「詐欺なのでは」「私も同じことをされた経験があり、同窓会にはもう出ていない」「同窓会ビジネスに付き合う必要はない」といった声が寄せられています。
同窓会などの私的な集まりで、幹事が実際の支払額よりも多い金額を徴収し、差額を受け取っていた場合、法的な問題はないのでしょうか。日向一仁弁護士に聞きました。
●幹事には「お金の使い道」を説明する義務がある
──同窓会の会費について、幹事が実際の支払額より多く集め、その差額を受け取っていた場合、法的な問題はありますか。
同窓会のように、特定の目的のために金銭を集めて運営する場合、幹事は「参加者からお金を預かり、管理する立場」にあります。
法律上も、幹事と参加者の関係は「頼まれて事務を引き受ける関係」(委任や準委任に近い関係)に近いと考えられています。
このような関係では、幹事には「預かったお金をどう使ったのか」を参加者に説明する義務があります(民法645条)。
また、事務処理の過程で集めたお金は、原則として参加者(委任した人)に帰属するものです。事前に説明や合意がないまま、「会費=飲食代の実費」という前提で集金している場合、余った差額は本来、参加者に返還されるべきものと考えられます(民法646条)。
なお、幹事の手間賃として差額を受け取ること自体は、あらかじめ「通信費や事務手数料として◯円を含みます」といった説明と合意があれば、法的に問題になるわけではありません。
しかし、そういった説明がないまま、差額を密かに懐に入れていた場合、受任者としての義務に反する行為と評価される可能性が高いでしょう。
●会費の差額分は返してもらえるのか
──参加者が「会費はすべて実費として使われる」と認識していた場合、その差額分について返還を求めることはできますか。
参加者が「会費はすべて店への支払いに充てられるもの」と認識していたのであれば、幹事が法律上の正当な理由なく利益を得ているとして、不当利得返還請求によって差額分の返還を求められる可能性があります。
さらに、幹事が当初から差額を得る意図で、実際よりも高い金額を虚偽に伝えて集金していた場合(たとえば、実際は5000円なのに8000円と偽っていた場合)、理論上は詐欺罪が成立する余地もあります。
また、預かった会費を着服した場合、業務上横領罪が問題になることも考えられます。ただし、親睦を目的とした私的な集まりでは、警察が直ちに介入するケースは多くないのが実情でしょう。

