咽頭がんの原因とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「咽頭がんの初期症状」はご存知ですか?原因やなりやすい人の特徴も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
小柏 靖直(上福岡総合病院)
2001年防衛医大卒。頭頸部がんの診療・手術に長年携わり、現在は上福岡総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長として多数の手術を手がける。アスリートとしても活動し、2023年にはフランスで行われた自転車の超長距離大会「パリ・ブレスト・パリ」(1200km)を90時間以内で完走。医師の視点からスポーツ・健康・食事の重要性を伝える講演や、頭頸部がんに関する著書も多数。専門性と行動力を活かし、医療・健康分野での発信に力を注いでいる。
「咽頭がん」とは?
「最近、のどの調子が悪いけど、ただの風邪かな?」
そんなふうに思っているうちに、じつは重大な病気が隠れていることもあります。
「咽頭がん(いんとうがん)」とは、のどの奥にある「咽頭」と呼ばれる部分にできるがんのことです。咽頭は、鼻や口と気管・食道をつなぐ大切な通り道で、呼吸や食事、声を出すなどの機能に関わっています。
咽頭がんは、上咽頭・中咽頭・下咽頭という3つの場所に分けられ、それぞれに特徴的な症状や原因があります。早い段階では、風邪やアレルギーと見分けがつきにくいこともあり、発見が遅れることもあります。
この記事では、咽頭がんの種類や症状、受診のタイミングについて、できるだけわかりやすく解説します。のどや首に気になる症状がある方、あるいは家族や知人が気にしている方も、ぜひ参考にしてください。
咽頭がんの種類
上咽頭がん
上咽頭がんは、鼻の奥にあって鼻と喉の境目に位置する部位に発生するがんで、特にエプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)との関連が強いことが知られています。遺伝的な要素や環境的な影響も発症に関係していると考えられています。上咽頭は非常に狭く奥まった場所にあるため、がんが初期の段階ではほとんど自覚症状が現れないことも多いですが、がんが進行するに従って片側だけの鼻づまりや鼻血、耳の詰まった感じや聞こえにくさといった症状が現れることがあります。これは、がんが中耳炎を引き起こす場合もあるためです。また、首のリンパ節が腫れてしこりとなり、これが症状として気づかれることも多く、風邪や花粉症の症状と間違えられやすいため、注意が必要です。
中咽頭がん
中咽頭がんは、のどちんこの周囲や扁桃、舌の付け根にできるがんで、特に中年以降の男性に多く見られます。主なリスクとしては喫煙や過度の飲酒が知られていますが、近年ではHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因となるケースも増加しており、比較的若い世代にも見られるようになってきています。中咽頭は比較的目に見えやすい部位であるため、のどの痛みや飲み込みにくさ、声のかすれといった症状に気づきやすいのが特徴です。特に片側だけのどが痛みが長く続く場合や、飲み込みに違和感がある場合は注意が必要です。また、首にリンパ節のしこりが現れることもあり、これらの症状は風邪の症状に似ているため放置されがちですが、いつまでも治らない場合は早めの受診をおすすめします。
下咽頭がん
下咽頭がんは、のどぼとけのさらに奥に位置し、食道や気管の入り口にあたる部分に発生するがんです。咽頭がんの中でも比較的多く見られ、特に長期間の喫煙や過度の飲酒習慣がある中高年の男性に多い傾向があります。症状としては、飲み込みにくさやのどにひっかかるような違和感が続くことがあり、声のかすれが現れる場合もあります。また、がんが首のリンパ節に転移してしこりとなることもあり、これをきっかけに発見されるケースも少なくありません。これらの症状は初期には軽いため見過ごされがちですが、「なんとなく変だな」と感じたら、早めに耳鼻咽喉科を受診して専門的な診察を受けることが重要です。

