●人情喜劇路線での演出が裏目に出た
ひょっとすると、少年の思いが両親に十分に伝わっていない、と感じた部分もあったのかもしれない。
だから、せいやは「お前はまだ12歳や」と声をかけ、慈しむように少年を抱き上げる。「まだ大人にならなくてもいい」とメッセージを込め、年齢相応の生活を送れていない境遇に寄り添った。
業界人的に見ると、「こんなに頑張っている子がいる。親ももう少し考えてあげればいいのに」というくらいの反響を想定して編集したのではないか、と思わせる仕上がりだった。
「頑張る長男」と「寄り添う探偵」という、人情喜劇としての構図がはっきりしていた。
●「米炊いて!七合」は演出だった可能性がある
問題のラスト、せいやが家を後にした直後、室内から母親の「米炊いて!七合!」という声が響く場面は、おそらく「オチ」として意図的に加えられたものだろう。この一言が、母親への批判を強めた。
制作側としては「厳しいなあ、母ちゃん」と苦笑いする程度の反応を狙ったのではないか。
ただ、この場面は「台本に沿った演出」だった可能性が高い。通常、マイクが生きた状態で玄関を出ることはなく、屋内の音声を偶然拾うこともほぼあり得ない。そう考えると、「言ってもらったセリフ」と見るのが最も合理的だ。
その前提に立てば、制作者が「これはヤングケアラー事案で、このまま放送すると炎上する」と予想していたとは思えない。そもそも「ヤングケアラー問題」への認識が十分ではなかった可能性もある。

