●「大家族」で視聴率を稼いできたテレビの文脈
テレビ業界ではこれまで「大家族の奮闘記」や「大家族で親の代わりに世話をする子どもたち」といった題材をたびたび美談として取り上げてきた。
「弟や妹たちの面倒を見る、偉いお兄ちゃんお姉ちゃん」は、視聴率の取れる定番モチーフだった。今回の制作陣の認識も、その延長線上にあったのではないか。
少なくとも取材前はもちろん、取材中も「ちょっと可哀想だよこれ」くらいの感覚のまま、描いたとも考えてしまう。
ひょっとしたら、この番組のコアなファンであれば「ちょっとエエ話」「ボク、頑張りや!」くらいのノリで受け入れてくれたのかもしれない。
しかし、現代のコンプライアンス意識や社会状況を踏まえれば、明らかに脇の甘い演出だったと言わざるを得ないだろう。
●「演出方針」として問題があったのではないか
本来、取材開始前の段階で「ヤングケアラーに該当するかどうか」を慎重に検討すべきだった。必要があれば、両親のSNSを調べたり、聞き取りをしたりして、きっちり調査するべきだっただろう。
仮に「問題なし」と判断したとしても、「子どもだけで家にいる状況」は、演出のために今回そうしているのだということを明示すべきだった。
取材時には、探偵やスタッフが多数いるわけで、決して子どもたちが放置されているわけではない。しかし、それが伝わらなければ、視聴者は「いつもこんな状況で大丈夫なのか」と不安を抱く。
そうすると、その後は不安感ばかりが頭によぎり、感情移入もできなければ笑うこともできなくなる。そこに「米炊いて!七合!」という声が重なれば、批判が集中するのは当然だ。
そういう意味で、今回は明らかに番組側の演出方針に問題があったと言えると思う。
繰り返しになるが、『探偵!ナイトスクープ』は、ときにニュース番組以上に社会を映し出す、優れたバラエティ番組である。大阪らしい、人情味あふれる名番組だ。
だからこそ、今回の失敗を真摯に受け止め、今後も「市井の人たちのお悩み」と「それに寄り添う探偵たち」の魅力をより慎重に、より深く描き続けてほしいと願っている。

