不妊治療の“やめ時”はいつ?医師が語る「決断の基準」とは

不妊治療の“やめ時”はいつ?医師が語る「決断の基準」とは

不妊治療は多くの夫婦やカップルにとって、心身ともに大きな負担となります。特に、いつ治療を終えるべきかという決断は難しいものです。今回は、不妊治療の期間や不妊治療の“やめ時の考え方”について、「ソフィアレディスクリニック」の長谷川先生に解説していただきました。

長谷川 朋也

監修医師:
長谷川 朋也(ソフィアレディスクリニック(長谷川LCグループ))

東京医科大学を卒業後、クリニックや総合病院で経験を積む。2019年から2年間はアメリカ・ハーバード大学へ留学し、2022年 長谷川レディースクリニック副院長、ソフィアレディスクリニック(長谷川LCグループ)の院長として就任。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。

編集部

不妊治療と仕事との両立は可能なのでしょうか?

長谷川先生

不妊治療と仕事の両立は可能ですが、治療内容によっては頻繁な通院が必要になる場合があります。可能であれば事前に職場と相談し、理解を得ることで、治療のストレスが少しでも軽減できると思います。

編集部

不妊治療って、どのくらいの期間続くのでしょうか?

長谷川先生

不妊治療の期間は個人差がありますが、一般的には数カ月〜数年にわたることが多く、場合によっては10年以上かける人もいます。治療の進捗や結果を見ながら、パートナーや医師と相談して進めていくことが大切です。

編集部

不妊治療の「やめ時」というのはありますか?

長谷川先生

それぞれの考え方や年齢、経済的状況などにもよると思うので、一概に「ここがやめ時」とは言えません。一例として「排卵誘発剤を使っても、卵胞が育ってこない」「自力での生理が来ない」といった場合には、年齢に関わらず体内に卵子が残されていない可能性があるので、やめ時と考えた方がいいかもしれません。

編集部

ほかにもありますか?

長谷川先生

やめ時とは別の話になりますが、「卵子は取れて、受精卵にもなるけれど、胚盤胞にならない」というケースが続く場合は、クリニックを変えてみてもいいかもしれません。なぜなら、受精卵の培養環境が合っていない可能性があるからです。培養環境はそれぞれのクリニックによって異なるため、環境を変えると成功するケースもあります。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長谷川先生

不妊治療は、年齢で妊娠率が大きく変わります。そのため、先延ばしにせず「あれ?」と思ったらまずは相談だけでもしてみることをおすすめします。また、不妊治療をする際に「不妊治療以外で家族を持つ選択肢」も、頭の片隅に置いていただければと思います。実際に、養子縁組や里親制度で幸せに暮らしている家族がたくさんいます。「これらの制度を使いましょう」というわけではないのですが、「不妊治療が失敗したら、自分の人生は終わりだ」と思い込んでいると、メンタルを保つのが困難でしょう。「妊娠・出産すること」が唯一無二の選択肢にならないよう、養子縁組や里親制度も選択肢の1つとして知っておくだけでも、心が少し穏やかになるかと思います。

※この記事はMedical DOCにて<“終わりが見えない”不妊治療… かかる費用・やめ時・向き合い方を医師が徹底解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

配信元: Medical DOC

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