要介護状態とは、加齢や病気によって日常生活に継続的な介助が必要になった状態を指します。そして要介護状態には進行度があり、軽度から重度まで区分されています。本記事では要介護状態の進行度区分ごとの身体機能の変化、要介護度が変わる主な要因、進行のサイン、進行を防ぐために家族ができること、進行度に合わせた対策について詳しく解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院生理学講座生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。
要介護状態の進行度を示す区分と身体機能の変化

要介護状態は、介護保険制度の認定により要支援1~2と要介護1~5の7段階に区分されています。この数字が大きくなるほど、日常生活全般に必要な介護の度合いが高いことを示します。例えば、要支援は部分的な支援が必要な軽い状態、要介護5は寝たきりに近く全介助が必要な重い状態です
要支援1〜2
要支援1〜2の段階では、基本的な生活動作はほぼ自立していますが、一部の家事や外出支援が必要な状態です。買い物や掃除などのうち、複雑な動作において補助が必要になりやすく、徐々に日常生活に支障を感じ始めます。
身体的な面では、歩行速度が遅くなったり、段差でつまずきやすくなったりします。体力や筋力の低下から疲れやすくなり、外出や運動機会が減少することで、さらに筋力が落ちるという悪循環を招きやすくなります。この段階では、できる限りの運動習慣を維持し、生活環境を整えることが重要です。
要介護1〜2
要介護1〜2では、入浴や排泄、食事などの基本的な生活動作で部分的な介助が必要になることが多くなります。立ち上がりや歩行時のふらつきが目立ち、一人での外出は難しくなります。また、服薬管理や金銭管理といった複雑な判断が必要な動作にも支援が必要になり、認知機能の低下が徐々に現れる段階です。転倒リスクが高まるため、家庭内の安全確保や介護サービスの適切な導入が重要になります。
要介護3〜5
要介護3〜5は重度の介護が必要となる段階です。身体機能が著しく低下し、寝たきり状態や全介助を要する場合が多くなります。自力での移動や食事摂取が困難で、誤嚥や床ずれのリスクが大変高くなります。また、認知症を併発している場合、徘徊や暴言、不安などの行動心理症状が出現し、介護者への負担が大きくなります。専門的な医療介入や介護サービスの全面的な利用が必要です。
要介護状態の進行度が変わる要因

要介護度が変わる、すなわち軽度から重度へ状態が進行してしまう背景には、複数の要因が関与します。主な要因として、加齢に伴う機能低下、入院関連機能障害、認知症の進行、そしてそのほかの特定疾患の進行が挙げられます。これらの要因が重なり合うことで生活機能の低下が進み、介護の必要量が増大します。以下で各要因について詳しく解説します。
加齢に伴う機能低下
加齢に伴う身体機能の低下は避けられません。筋力や持久力の低下、骨密度や平衡感覚の衰えなどが要介護状態を進行させます。特にフレイルという状態は、心身の虚弱を意味し、放置すると要介護状態への移行を早めるため、早期の介入と予防が大切になります。
入院関連機能障害
高齢の方の入院は機能低下を招く大きな要因です。安静期間中に筋力や認知機能が著しく低下することで、退院後に自立度が下がり、介護が必要になるケースが多くみられます。入院中からのリハビリ介入や活動量の維持が予防につながります。
認知症の進行
認知症は記憶障害や判断力の低下だけでなく、行動心理症状の出現によって介護の負担が急激に増えることがあります。症状の早期発見と専門的な対応が介護状態の悪化を防ぐために不可欠です。
そのほかの特定疾患の進行
脳血管疾患や骨折、パーキンソン病などの特定疾患は、進行に伴い生活動作が困難になりやすく、介護度が急激に進むことがあります。早期発見と治療の継続、リハビリの実施が重要です。

