「糖尿病予備軍」と指摘され、「何を食べてはいけないのか」「これまでの食生活をどこまで見直す必要があるのか」と不安を感じている方は少なくありません。
糖尿病予備軍は、まだ糖尿病と診断されていない段階ではあるものの、生活習慣次第では糖尿病へ進行する可能性がある状態です。
本記事では、糖尿病予備軍の方が注意したい食品や飲み物の考え方を中心に、推奨される食生活、食事以外で気を付けたい生活習慣について解説します。

監修医師:
上田 莉子(医師)
関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医
糖尿病予備軍の人が食べてはいけないもの

糖尿病予備軍の人が食べてはいけないものはありますか?
糖尿病予備軍の方が食べてはいけない食品はありません。基本となるのは、血糖値を急激に上げないようなバランスのよい食事を心がけることです。
ただし、血糖値の上昇や体重増加につながりやすい食品については、量や頻度に注意が必要です。白米や白いパン、うどんなどの精製された炭水化物は、食後血糖値が上がりやすい傾向があります。
脂質も注意する必要があります。肉類や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸や、揚げ物・加工食品の摂りすぎは、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
糖尿病予備軍の人が避けた方がよい飲み物を教えてください
糖尿病予備軍の方が絶対に飲んではいけない飲み物はありません。ただし、血糖値の上昇やエネルギー(カロリー)の過剰摂取につながりやすい清涼飲料水は、日常的な摂取を控えたほうがよいとされています。
清涼飲料水は、炭酸飲料、加糖のジュース、スポーツドリンク、甘い缶コーヒーやミルクティーなどで、血糖値が急激に上昇しやすい飲み物です。
例えば、コップ1杯のみかんジュースにはみかんが4~5個含まれるため、それを一気に飲むとみかん4~5個を大量に摂取することになります。糖尿病で食べてはいけないものはありませんが、食事の量とスピード、タイミングには気を付けなくてはいけません。
どうしても清涼飲料水を飲みたいときは、飲むタイミングは食後にし、量は少量にとどめるように心がけましょう。
また、アルコール飲料の摂取にも気を付ける必要があります。アルコール自体にエネルギーが含まれるうえ、飲酒によって食欲が増し、食べ過ぎにつながりやすくなります。また、夜のアルコール摂取は中性脂肪を増加させ、脂質異常症も悪化させます。
参照:
『糖尿病の食事』(厚生労働省)
『あなたは糖尿病予備群?まずはチェック!』(厚生労働省)
なぜ糖尿病予備軍の人は食事に気を付ける必要があるのですか?
糖尿病予備軍は、すでに血糖値が正常範囲を超え始めており、放置すると糖尿病へ進行する可能性が高い状態です。上昇した血糖値を下げるインスリンの働きが低下し始めています。
食事でエネルギーや糖質を摂り過ぎると血糖値が急激に上がり、インスリンを分泌する膵臓の負担がさらに大きくなります。その結果、高血糖が慢性化し、糖尿病へ移行するリスクが高まります。
一方、糖尿病予備軍の段階で食事に気を付けることで、血糖値の改善や体重の適正化が期待できます。
参照:
『糖尿病の食事』(厚生労働省)
『あなたは糖尿病予備群?まずはチェック!』(厚生労働省)
糖尿病予備軍の人が食事に気を付けないとどうなりますか?
糖尿病予備軍の状態で食事に気を付けず、これまでと同じ食生活を続けていると、血糖値がさらに上昇し、糖尿病へ進行する可能性が高くなります。
血糖値の高い状態が続くと、膵臓は血糖を下げようとしてインスリンを過剰に分泌し続けることになります。膵臓に大きな負担がかかる状態が長期間続くことで、インスリンを分泌する力がさらに低下し、血糖値を自力で下げることができなくなっていきます。その結果、糖尿病と診断される段階へ移行します。
参照:
『糖尿病の食事』(厚生労働省)
『あなたは糖尿病予備群?まずはチェック!』(厚生労働省)
糖尿病予備軍の人に推奨される食事

糖尿病予備軍の人に推奨される食生活のポイントを教えてください
糖尿病予備軍の方に推奨される食生活の基本は、食べ過ぎを避け、規則正しく、バランスの取れた食事を続けることです。
単に摂取カロリーを抑えるだけでなく、「何を食べるか」「どのように食べるか」を意識することが重要です。1日3食をできるだけ決まった時間に摂り、欠食やまとめ食い、遅い時間の夕食を控えることで、血糖値の急激な変動を防ぎやすくなります。
また、よく噛み、時間をかけて食事をすることも大切です。食事内容としては、主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけ、栄養の偏りを防ぎましょう。
外食や惣菜、市販の弁当が多い場合は、エネルギーや食塩の摂り過ぎにつながりやすくなります。そういった食事の機会が多い方は、サラダや野菜が中心の副菜を増やす、味付けが薄いものを選ぶといった工夫をするとよいでしょう。
糖尿病予備軍の人が積極的に摂りたい食べ物はありますか?
糖尿病予備軍の方が積極的に摂りたいのは、血糖値の急上昇を抑え、栄養バランスを整えるのに役立つ食品です。
食物繊維を多く含む野菜、海藻、きのこ、豆類、雑穀、玄米などは、糖の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の上昇を抑える働きが期待できます。食事の最初に野菜や海藻類を取り入れることで、食後高血糖の予防にもつながります。
また、たんぱく質を適切に摂ることも重要です。魚、肉、大豆製品、卵などは、筋肉や体の維持に欠かせない栄養素で、満腹感を得やすくする効果もあります。
脂質については、肉類や乳製品に多い飽和脂肪酸を摂り過ぎないようにしつつ、魚に含まれるn-3系脂肪酸など、身体によい脂質を取り入れることが大切です。
飲み物は、水やお茶など糖分を含まないものを飲みましょう。
血糖値を下げるという飲み物やサプリは効果がありますか?
一部の飲み物やサプリに含まれる成分には、血糖値の上昇をゆるやかにする可能性が示唆されているものがあります。しかし、効果は限定的であり、個人差も大きく、食事内容や生活習慣を大きく左右するほどの作用は期待できないのが現状です。また、「飲めば血糖
値が下がる」「これだけで安心」といった思い込みは、食事量の増加や生活習慣の乱れを招き、血糖コントロールを悪化させるおそれもあります。
参照:『「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」表示をした食品』(厚生労働省)

