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「小脳梗塞」を発症するとどんな「後遺症」が残るかご存知ですか?医師が解説!

「小脳梗塞」を発症するとどんな「後遺症」が残るかご存知ですか?医師が解説!

小脳梗塞の術後の後遺症

小脳梗塞は、梗塞の範囲が広がり、脳幹(生命維持に必須の機能が集中している部位)を圧迫するリスクがある場合や、梗塞により脳のむくみ(脳浮腫)が高度になる場合に、緊急で手術(開頭術による減圧術など)が行われることがあります。手術は命を救うために不可欠ですが、手術特有の後遺症やリスクも伴います。

脳浮腫・水頭症による症状(頭痛、意識障害)

小脳梗塞による脳のむくみが、手術後も続くことがあります。また、手術によって脳の中の脳脊髄液(脳と脊髄を循環する液)の流れが妨げられ、脳室に液が溜まる水頭症になることがあります。
症状としては、慢性の頭痛、吐き気、意識レベルの低下、認知機能の低下、歩行障害(すり足など)が後遺症として残ることがあります。
脳浮腫は時間とともに徐々に軽減しますが、水頭症が残った場合は自然治癒は難しく、シャント術(脳室からお腹などにチューブを通して脳脊髄液を流す手術)という追加の手術が必要になることがあります。シャント術によって症状は劇的に改善することが多いです。

血腫による症状

手術後に、手術部位やその周辺で出血が起こり、血の塊(血腫)ができることがあります。
症状として、血腫が脳を圧迫することで、手足の麻痺、失語症、新たな小脳症状(めまい、運動失調など)といった、もともとの梗塞症状とは異なる、あるいは悪化した後遺症を引き起こす可能性があります。
対処法: 脳を圧迫している場合は、再び血腫を取り除く手術が必要になることがあります。術後、急激な症状の悪化(意識の低下、麻痺の出現など)は緊急事態です。すぐに救急車を呼ぶか、手術を受けた病院に連絡してください。

傷の痛み・感染症

開頭手術を行った場合、手術の切開部やその周囲の頭皮、神経に痛みが残り、後遺症となることがあります。また、稀ではありますが、術後に傷口や手術部位に細菌が感染し、重篤な合併症を引き起こすことがあります。
対処法: 慢性的な術後の傷の痛みは、内服薬やブロック注射などでコントロールできることが多いです。感染症は、抗生物質による治療が必要であり、早期の治療で完治が可能です。退院後、傷口が赤くなったり、熱を持ったり、液が出てきたりした場合は、自己判断せずにすぐに病院に連絡してください。

嚥下機能の低下(特に脳幹圧迫後)

小脳梗塞自体が直接的な重度の嚥下障害を引き起こすことは少ないですが、梗塞による脳浮腫が脳幹を圧迫した場合、飲み込みの機能に重大な障害が残ることがあります。
症状としては、食べ物や唾液が飲み込みにくくなる(嚥下困難)、食事中にむせる、食べたものが気管に入ってしまう(誤嚥)といった症状です。誤嚥は肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こす危険性があるため、命に関わります。
対処法: 嚥下訓練を継続することで、口から食事ができるようになるケースは多いです。嚥下障害がある場合は、専門家(言語聴覚士)の評価と指導なしに、自己判断で食事の形態を変えてはいけません。

小脳梗塞で後遺症が残る原因

小脳梗塞の後遺症が残る主な原因と、その対策、受診すべき病院について解説します。

梗塞の大きさや部位

後遺症の程度は、「どれだけ多くの脳細胞が壊死したか」、そして「どの部分の細胞がやられたか」に大きく左右されます。
・梗塞の大きさ: 梗塞範囲が広ければ広いほど、後遺症が重くなる傾向があります。
・梗塞の部位: 小脳の中心部や脳幹に近い部分が詰まると、症状が重篤化しやすいです。
・治療までの時間(Time is Brain): 脳梗塞は時間との勝負です。発症から治療開始までの時間が遅れると、壊死する細胞が増えてしまい、後遺症が残りやすくなります。

小脳梗塞の症状(急なめまい、ふらつき、ろれつが回らないなど)を自覚した場合、一刻も早く救急車を呼び、脳卒中センターや脳神経外科のある総合病院を受診してください。特に発症から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす治療(t-PA静注療法)や、カテーテルによる血栓回収療法が適用できる可能性があります。

脳浮腫による二次的な脳幹圧迫

小脳梗塞が起こると、時間の経過とともに梗塞部位がむくみ(脳浮腫)、体積が増大します。小脳がある場所は狭く、むくみが大きくなると、生命維持に必須な脳幹を圧迫してしまいます。
・脳幹は、呼吸、心拍、意識レベルなど、生命の根幹に関わる機能を司っています。
・脳幹が圧迫されると、もともとの小脳症状に加えて、意識障害、呼吸の停止、四肢麻痺といった重篤な症状が出現し、命に関わります。この二次的な損傷が、回復を難しくし、重い後遺症の原因となります。

症状が急激に悪化し、頭痛や嘔吐が激しくなり、呼びかけへの反応が鈍くなる(意識レベルの低下)、呼吸が浅くなるなどの症状が出たら、躊躇なく救急車を要請し、一刻も早く脳神経外科のある病院へ搬送してもらう必要があります。

基礎疾患(高血圧、糖尿病、心房細動など)の管理状況

脳梗塞の原因の多くは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動といった持病(生活習慣病)に起因しています。
・動脈硬化の進行: 高血圧や糖尿病があると、脳の血管の動脈硬化(血管が硬くなり、狭くなること)が進行しやすく、これが詰まりの原因となります。
・再発リスク: 持病の管理が不十分だと、小脳梗塞が治った後も、別の場所や同じ場所に再発するリスクが格段に高まります。再発によって後遺症が重なり、より重篤な状態になることが、後遺症が残る最大の原因の一つです。
・心房細動: 心臓の不整脈(心房細動)があると、心臓内で血の塊(血栓)ができ、それが脳に飛んで小脳の血管を詰まらせることがあります(心原性脳塞栓症)。これは再発リスクが非常に高い梗塞です。

脳梗塞の治療後も、持病をコントロールすることが極めて重要です。退院後、かかりつけの医師(内科医)と連携し、血圧や血糖値を厳密に管理してください。心房細動がある場合は、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)の服用を絶対に中断しないでください。

配信元: Medical DOC

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