生後5か月の娘を育てる由奈は、夫・大和の一度の不倫を乗り越え、家族3人でしあわせに暮らす未来を信じていた。しかし、ある日、ポストに届いたのは「大和さんをゆずって」という、不倫相手からの手紙。平穏な日常が、恐怖へと一変する。
"再構築"を選んだ私たち
「あ、またミナが笑った。かわいいね」
生後5か月の娘、ミナのぷにぷにしたほっぺをつつきながら、私はおだやかな午後の時間を過ごしていました。
私の名前は由奈、28歳。29歳の夫・大和と、この春生まれたばかりのミナとの3人暮らしです。
大和との結婚生活は、一見すればしあせそのものでした。でも、私の心には、常に小さなトゲが刺さっています。
それは、2年前、大和が一度だけ不倫をしたこと。
あの時は「魔が差した」と泣いてあやまる大和を、若かった私は信じてゆるしてしまいました。
今は子どももいるし、彼はきっと変わってくれた。そう自分に言い聞かせていたんです。
差出人不明の手紙
そんなある日、郵便ポストに「差出人不明」の封筒が入っていました。
「なんだろう、ダイレクトメールかな……?」
かるい気持ちで封を開けた私は、血の気が引くのを感じました。
便箋には、ふるえるような文字でこう書かれていたのです。
「大和さんを、私にゆずってください。彼はあなたといても、しあわせそうじゃありません。これ以上、彼をしばり付けないで。」
「……えっ…なに、これ……」
心臓が早鐘を打ち始めます。
頭の中が真っ白になりました。いやな予感が確信に変わる瞬間でした。
(また、やっていたんだ)
しかも、相手の女性は、私の家の住所を知っていて、直接、手紙を送りつけてくるほど大胆で、執着心が強い。

