滑液包炎とは、運動の摩擦などを和らげるための役割を持つ滑液包が炎症を起こす病気です。
過剰な運動などで使われ過ぎることで発症する可能性があり、誰しも起こり得る病気です。適切な治療を行うためには、正しく病気を把握しておく必要があるでしょう。
そこで本記事では、滑液包炎とはどのような病気かについてご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「滑液包炎」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
滑液包炎の治療方法と期間

滑液包炎の治療方法について詳しく知りたいです。
この病気の治療方法は、症状の程度や原因に応じて異なり、感染症が原因でない場合は次のような方法が代表的です。安静
患部の固定
非ステロイド系抗炎症薬
症状が軽度の場合は、症状の出ている患部の動きを避けて安静にすることで、症状の緩和が期待できます。場合によっては患部を固定する方法も有効です。また、非ステロイド系抗炎症薬は、痛みや炎症の軽減に役立つ薬です。
これらの治療を行って、3~6週間程度経過しても効果が見られない場合には、滑液の吸引とステロイド薬の注射を行う場合があります。
しかし、感染症が原因の場合や慢性的な滑液包炎の場合には、次のような治療を行う必要があります。
抗菌薬
滑液の吸引
手術
感染症による滑液包炎の場合は抗菌薬の使用が必須です。先述した黄色ブドウ球菌などに有効な抗菌薬を服用する必要があります。例えすぐに症状が良くなっても、体内にはまだ細菌が残っている可能性もあるため、処方された期間は必ず抗菌薬を飲みましょう。
患部によっては、針を指して感染した滑液を吸引する治療も行われます。また、稀に抗菌薬などの治療では改善しない場合があり、手術が必要となるケースもあります。
滑液包炎は完治までにどのくらいかかるのでしょうか。
この病気が完治するまでの期間としては、症状が軽度であれば数週間~1カ月程度で治ることが多いです。感染症が原因でない場合は、安静にして非ステロイド系抗炎症薬などを使用することで早期改善が見込めます。しかし、感染症の場合は完治まで長期に及ぶ可能性があります。
抗菌薬の服用は1週間程度は必要であり、仮に手術を必要とする場合には、手術後のリハビリ加療時期も含めると数カ月程度期間が必要なケースもあるでしょう。
滑液包炎を治すためには安静にしていないといけないのでしょうか。
症状の度合いによっては、必ずしも安静が必要というわけではありません。運動が有効となる場合もあります。例えば軽度の場合で、薬の効果や安静にした結果痛みが治まったのであれば、運動を増やした方が良いと考えられています。関節の可動域を正常な範囲まで広げるのに役立ち、筋力の低下を抑えられるためです。
しかし、自己判断で運動を行うのはやめましょう。安静な期間が必要な場合に無理に運動してしまうと、治療の長期化を招く可能性があります。治療の方法や運動の開始時期などは、医師と相談しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
滑液包炎は、外傷や過度の運動の他、感染症によっても発症することがあります。軽度の場合は安静にしていても回復しますが、症状が重い場合や、長期化している場合などは姿勢の悪化を招く可能性もあるため注意が必要です。受診することで原因を解明し、非ステロイド系抗炎症薬・抗菌薬などの的確な治療を受ければ早い回復につながることが多いです。
関節の痛み・違和感・腫れが気になる場合は、早めに医師の診療を受けることをおすすめします。
編集部まとめ

滑液包炎とは、運動や外傷などさまざまな原因で発症する可能性がある病気です。痛みだけでなく、非常に大きな腫れが伴うケースもあります。
しかし、正しい治療を行えば完治できる病気です。手術が必要なケースは稀であるため、薬などでも十分改善が期待できます。
万が一、違和感を覚えた場合や症状が見られる場合には、医療機関を受診して早期治療を行いましょう。
参考文献
高尿酸血症・痛風の診断と治療

