自分の身体を鋳造⁉アントニー・ゴームリー、身体と空間の境界を問う彫刻家

ゴームリー作品③《Event Horizon》──都市における意識の境界

Event Horizon, Antony Gormley, Public domain, via Wikimedia Commons.

《Event Horizon》(2007–2016)は、都市空間を舞台にしたインスタレーション作品です。等身大の人物像がビルの屋上や縁に配置され、日常の風景の中に非日常的な緊張を生み出します。タイトルは、ブラックホールの境界を示す物理学用語に由来しています。

ゴームリーはこの言葉を、人と人との間に存在する見えない距離として捉えました。都市における孤立や匿名性、野心と不安。人物像が観察者なのか、危機にある存在なのか判然としない点が、見る者の意識を揺さぶります。

誤解や混乱も生じましたが、それこそが作品の力を示しています。都市という日常的な空間に人間の形を置くことで、私たちの認識は大きく変化するのです。

ゴームリー作品④《Field》シリーズ──集団としての境界

Field for the British Isles, Antony Gormley, Public domain, via Wikimedia Commons.

《Field》シリーズでは、ゴームリーは個人から集団へと視点を広げます。数万体に及ぶ小さな人形は、地域の人々と協働して制作されました。最小限の指示だけが与えられ、それぞれが微妙に異なる表情を持つ存在となっています。

展示空間では、人形たちが入口を向き、観客を見つめます。この視線の逆転によって、「見る」「見られる」という関係が問い直されます。過密化する世界の中で、無数の個が集まりながらも、それぞれが固有の存在であることを、この作品は示しています。

配信元: イロハニアート

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