科学的エビデンスが証明する治療効果
編集部
開発した手術法の有効性はどのように証明されたのですか?
中尾先生
革新的な手術法が本当に有効なのかは、科学的に立証される必要があります。全国の複数施設の参加で無作為比較試験をおこない、驚くべき成績が明らかになりました。門脈血中の循環腫瘍DNA測定により、従来法と比較して術中門脈血中へのがん細胞の揉み出しは10分の1から100分の1に低下するという良好な結果が確認されたのです。門脈浸潤の程度による分類(A・B・C・D)を確立し、15年間の追跡調査を実施しました。A・B群では5年生存率が有意に改善されることが示されました。これらの結果は国際的な学会でも認められ、論文がアクセプト(採択)されています。
「切除不能」と判断された患者さんへの対応
編集部
難しい症例にはどのように対応されていますか?
中尾先生
膵臓がんの中でも特に難しいのが、門脈や上腸間膜動脈に深く広く浸潤している場合です。従来は切除不能と判断されていた患者さんたちに対して、新たなアプローチを実施しています。術前に化学療法(ジェムザール、アブラキサン、フォルフィリノックスなど)と放射線治療を組み合わせて実施し、その後に手術をおこなう戦略です。この化学放射線療法後の手術により、生存期間が大幅に改善されつつあります。

