マイホームに引っ越してしばらくしてから、家の前にゴミが放置される事象に悩まされ始めたまり。意を決して防犯カメラを設置したところ、ゴミを荒らしていた犯人が判明しますが―――。
家の前にゴミが放置される日々
色々な件があって、仲がいいママ友だったはずのえりこさんの笑顔が、私にとって恐ろしいものに変わってしまった。
その上、私の精神をじわじわと蝕む出来事が続いた。ある朝、家の玄関を開けると、うちの前だけゴミが散乱していた。最初はカラスや野良猫のしわざかと思ったけれど二日、三日とあると、恐怖で胸が押しつぶされそうになった。
夫も最初は「気のせいじゃないか?」と言っていたけれど、頻繁にゴミが散乱しているのを見て、事態の異常さに気づいた。
「これは、誰かが意図的にやっているな」
夫は何かピンときたのか、防犯カメラをつけると言い出した。犯人から見えなさそうな場所に、夫が巧妙にカメラを取り付ける。犯人を特定するためだという。
カメラを取り付けた数日後、またゴミがばら撒かれていた。夫とは「仕事から帰宅したら映像を見よう」と話し、出勤を見送った。
その日の夕方、家の前をえりこさんが通りかかって話しかけてきた。
「まりちゃん、ゴミの件は大丈夫?さっきご近所さんに聞いたよ、いたずらだって?何度もって、大変ね…」
「防犯カメラ」の言葉に、顔色を変えたママ友
私はもしかするとえりこさんもこの件に関わっているかもと思っていたので、ここであえてカマをかけることにした。
「そうなの、困ってて…夫が防犯カメラを買ったんだ」
すると、えりこさんの顔が、一瞬だけ硬直したのがわかった。しかし、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「そうしたほうがいいよ、犯人がわかるといいね」
「それで、そのカメラはいつ取り付けるの?」
その言葉を聞いた瞬間、私はゾッとした。カメラがもうついていることは、言わなかった。

