「裁判を受ける権利を侵害」、強制送還の2か月前「弁護士通知」廃止に日弁連が抗議

「裁判を受ける権利を侵害」、強制送還の2か月前「弁護士通知」廃止に日弁連が抗議

出入国在留管理庁が外国人の強制送還の時期について、事前に代理人弁護士に通知する制度を廃止する意向を固めたことを受けて、日本弁護士連合会(日弁連)は1月27日、「被退去強制者の裁判を受ける権利を侵害するもの」として強く抗議する会長談話を発表した。日弁連は入管庁に対し、制度の維持と協議の継続を求めている。

弁護士通知制度は、2010年に日弁連と法務省入国管理局(当時)との合意により開始され、強制送還を予定されている外国人(被退去強制車)の代理人弁護士に対して、おおむね送還予定時期の2か月前を目途として通知を行うというもの。入管庁は、この通知により被退去強制者が逃亡する可能性があることなどを理由に制度を廃止することを決めたとされている。

●「最後の手段として、その意義は一層高まっていた」

日弁連は談話で、本制度について「被退去強制者の裁判を受ける権利(憲法第32条)を実効的に保障する上で極めて重要な仕組み」とし、「近年の入管法改正や送還促進政策の下において、国内における司法的救済を求める被退去強制者にとって、裁判を受ける機会を実効的に確保するために残された最後の手段として、その意義は一層高まっていた」と指摘した。

入管庁が提示した代替措置は「退去強制令書発付後1か月間は送還を猶予する旨を本人に通知する」という運用だが、日弁連は「猶予期間も極めて短い」とし、「被退去強制者が、司法的救済を求めるために、訴訟提起や執行停止申立ての準備を1か月以内に行うことは極めて困難」と批判。「本制度が果たしてきた機能を全く代替し得ない」と断じた。

日弁連は、「統計的根拠が十分に示されておらず、本制度廃止の根拠とされる事実関係の存在が認め難い」とし、約15年にわたる合意に基づく制度を一方的に廃止したことは「事実に基づく検証と当事者間の誠実な協議を欠いた」ものであると抗議している。

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