誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。
名前を忘れて、脈打つ街のアルゴリズム
交差する閃光は星座になることを拒み、色彩だけが意味を走らせる
耳に流れ込む激しいリズムは、旋律ではなく作用と君が呟き、低く沈む振動が汚れた血を裏切った
身体は思考より先に反応する
僕は歩いているのか、運ばれているのか、その区別はもう要らない
スクランブル交差点で波打つ人の群れは感情の沈殿物で、甘さと疲労が空気に溶けてゆく
声は刃物のように静かだけど、君と僕の内臓の内側を颯爽と切り開く
それは支配ではなく変質だとしても、歪()さとある種の美しさに官能を見出すなら、進歩的な君の発想に瞬間的なタイトルを付けたい
僕は僕という殻を脱ぎ、流行に則った新しい感覚を弄ぶ
過剰な啓示が路上に散らばり、拾い上げた者から帰路につき
都市は堕落しておらず、ただ覚醒が多すぎるだけ
鼓動はまだリズムの内部にあり、沈黙さえ拍を刻む
目覚める必要はなく、狂気と明晰の境界でしか真実は発光しない
そのリズムが止んでも、幻視は続き
街は今夜も、見者を生み落として、静かに微笑むだけだから

XG『THE CORE - 核』(2026年、XGALX)収録

