
京都生まれ京都育ちのライターが、地元のイベント情報をお届け。今回ご紹介するのは、京都工芸繊維大学 美術工芸資料館が主催する展覧会「京都工芸繊維大学―近代京都の蚕業と染織―」。
京都工芸繊維大学は、豊かな自然と歴史的名所に囲まれた松ヶ崎エリアにある。この展覧会は、こうした環境の中で育まれてきた京都工芸繊維大学が、京都の近代化にどのような役割を果たしたのかを知ることができる。
京都工芸繊維大学の歴史を「モノ」を通して検証
京都工芸繊維大学の「繊維」のルーツとなる京都蚕業講習所は、明治32年、明治政府の重要な産業政策のひとつであった蚕業研究における西日本の拠点となるべく設置された。また、「工芸」のルーツとなる京都高等工芸学校は、明治35年に、京都の伝統工芸の近代化を理論的・学術的にバックアップする目的で開校された。この両者が合体して、昭和24年に京都工芸繊維大学になったという。
「京都工芸繊維大学―近代京都の蚕業と染織―」は、このふたつのルーツをもつ京都工芸繊維大学が、京都の近代化にどのような役割を果たしたかという点について、繊維(糸と布)を題材として考えようとするもの。経糸と緯糸により布ができあがるように、このふたつの前身校は、それぞれが京都工芸繊維大学の重要な基幹を形成している。今回の展覧会では、その歴史を、「モノ」を通して検証していくという。
資料で辿る京都工芸繊維大学の歩み
附属図書館では、序章として、大学史資料により京都工芸繊維大学の歴史を辿り、同時に、明治時代に輸入された蚕についての海外の新知識を伝える貴重な図書類が展示される。
美術工芸資料館では、第1章として、明治時代に海外から取り寄せた蚕糸資料の掛図や、講義で使用されたと考えられる図表や地図といった教材により、初期の蚕業教育の様相が再現的に示される。
第2章では、初期の蚕業教育で使用された器具、道具類を公開。そして、第3章では、京都高等工芸学校で収集された染織見本や講義で用いられたガラススライド、さらには、京都高等工芸学校色染科の教員による制作物を展示。これらこうした資料を通して、京都蚕業講習所・京都高等工芸学校が、京都の、そして日本の近代化に果たした役割を明らかにしたいとの考えだ。
