脚本家・古沢良太が1980年代を描く魅力を語る「80年代は全員が同じものを見ていた最後の時代」<ラムネモンキー>

脚本家・古沢良太が1980年代を描く魅力を語る「80年代は全員が同じものを見ていた最後の時代」<ラムネモンキー>

「ラムネモンキー」より
「ラムネモンキー」より / (C)フジテレビ

数々のヒット作を世に送り出してきた脚本家・古沢良太が脚本を手がけている現在放送中のドラマ「ラムネモンキー」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FOD、TVerにて配信)。本作は、51歳となった雄太(反町隆史)、肇(大森南朋)、紀介(津田健次郎)の3人が、37年ぶりに再会し、かつての映画研究部顧問教師の謎の失踪事件を追いながら、もう一度青春の輝きを取り戻す模様を描く“1988青春回収ヒューマンコメディ”となっている。今回のインタビューでは、古沢に80年代の中学生時代と現代が交錯する本作について、古沢が物語に込めた思いや、自身の記憶を投影したというキャラクター、そして、今あえて80年代を描く理由などを語ってもらった。

■「大人のスタンド・バイ・ミー」をやりたかった

――今回の『ラムネモンキー』という企画は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

80年代の中学生の話はずっと書きたいと思っていたんです。僕自身、絵を描くのが好きなので、断片的なアイデアや落書きを個人的に溜めていて。それと並行して「大人のスタンド・バイ・ミー」をやりたいという思いがずっとありました。

僕自身もそうですが、50代になると人生につまずいたり、迷ったりしている人がたくさんいると思うんです。若い頃はがむしゃらに頑張れたし、失敗しても誰かが叱ってくれたり、目をかけてくれたりしていました。でも、いつの間にか誰も怒ってくれなくなり、失敗も許されない年代になってしまう。

多くの人は、若い頃の熱狂という名のエンジンが「ガス欠」状態になっているんじゃないか。そんな大人たちが、もう一度前を向くために「忘れ物」を取りに行く。そんな物語を80年代の少年時代と並行して描きたいと考え、2024年の夏頃にプロデューサーの成河さんに企画を渡したのが始まりです。

――反町隆史さん、大森南朋さん、津田健次郎さんが演じる3人のキャラクターには、どのようなこだわりがありますか?

視聴者の方に「あ、この人は俺だ」と思ってもらえるような、等身大のキャラクターにしたいと考えました。実は、この3人は大体僕なんです(笑)。僕自身の異なる側面を投影しています。

反町さん演じるユンは、80年代当時、今よりずっと差別的だった「オタク」という言葉におびえて、体育会系のフリをしていた僕自身の姿を反映しています。成功者の道を歩んできたはずの男が、50代でつまずく姿を、圧倒的なスターである反町さんが等身大の男として演じてくださるのが非常に楽しみです。

大森さん演じるチェンは、僕が中学時代に言っていたような屁理屈をそのまましゃべる「こじらせたオタク」です。大森さんが醸し出す独特の“サブカル臭”が、キャラクターにリアリティーを与えてくれていると思います。

そして津田さん演じるキンポーは、 夢に一歩踏み出すのは怖くて、周囲に気を遣って夢を諦めた人物です。僕もそうなる道もあった。なので「もしもの僕」の人生を彼に託しました。津田さんの持つパワーが作品に素晴らしい熱量を与えてくれていると感じます。

■80年代は「全員が同じものを見ていた」最後の時代

――最近は80年代を描く作品が増えていますが、古沢さんにとっての「80年代を描く魅力」とは何でしょうか?

80年代は、誰もが同じテレビを見て、同じヒット曲を歌い、同じ流行語を知っていた最後の時代だと思っています。ネットがない分、文化が共有されていました。なので、ドラマとして、マニアックなセリフを書いても意外と多くの人に伝わるという強みがあります。
また、僕らより上の世代の作家さんには「戦争」や「戦後」という大きな転換点がありました。

ですが、僕らの世代にはそれがないとずっと思っていて...でも冷静に振り返ると「80年代」と「現在」は、ネットの登場によって全く別の世界になった。実は僕らも、時代が激変する瞬間の目撃者だったんだと気づいたんです。

バブルが弾ける前の、どこか見苦しくも熱かったあの頃に、あの時代に日本人が手に入れたものの代わりに、捨ててしまったもの、失ってしまったものがあるのではないか。そんな「漠然とした落とし物」を、ドラマを通じて取り戻したいという気持ちがあります。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

個人的には、派手な仕掛けよりも、今の自分の気持ちに素直に、しみじみとした人間ドラマを書きたいと思って取り組みました。第3話に出てくる「キン肉マン vs ドラゴンボール論争」のような、他愛もないけれど熱かった記憶がよみがえる、そんなシーンを楽しみつつ、人生に迷っている人が「もう一度前を向こう」と、心に小さな火が灯るような感覚になってもらえたらうれしいです。このドラマを見て、救われる人が一人でもいたらいいなと願っています。


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