「フィラー注入」は、皮膚のたるみやしわ補正を行う施術法ですが、比較的侵襲が少なく、効果もわかりやすいことなどから、最近多くの人々に注目されています。この記事では、フィラー注入の注意点について、アンジークリニックの名倉直彌先生に解説してもらいました。

監修医師:
名倉 直彌(アンジークリニック)
東京医科大学医学部卒業。その後、東京医科大学茨城医療センター勤務、都内の美容クリニックで院長を務める。2021年、東京都渋谷区に「アンジークリニック」を開院。日本外科学会、日本甲状腺外科学会、日本臨床外科学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本外傷学会の各会員。
編集部
フィラー注入はメスを使わないというのは本当ですか?
名倉先生
はい。注入するだけなので、メスで皮膚を切開することはありません。
編集部
フィラー注入は誰でも受けられますか?
名倉先生
基本的には健康な成人であればどなたでも受けられますが、妊娠中や授乳中、アレルギーがある方は避けたほうが良い場合もあります。また、未成年者で施術をご希望される方は、どなたか保護者の方と一緒にご来院いただくか「未成年同意書」が必要になります。
編集部
フィラー注入の注意点などはありますか?
名倉先生
フィラー注入は比較的安全ですが、腫れや内出血、注入部位の感染などのリスクがあります。ただし、腫れや内出血があったとしても、1週間前後で落ち着きますので過度な心配は要りません。また、腫れや内出血を最小限にするために、注入当日は注入部位を冷やしたり、激しい運動やアルコールを避けたりすることが推奨されます。また、しばらくは日焼けを避けるなど、医師の指示に従って適切なアフターケアを行うことが重要です。
編集部
リスクもあるのですね。
名倉先生
医療行為なので、リスクは伴います。非常に稀なケースではありますが、ヒアルロン酸が血管内に注入されてしまうと、血管が詰まり、周囲の組織に潰瘍や壊死が生じたり、失明したりする可能性があります。ただし、迅速に適切な対処をすれば深刻な問題にはなりませんが、放置すると先述のとおり危険です。「美容」と軽視せず、信頼できる医療機関で医師と十分に相談したうえで施術を受けることが大切です。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージをお願いします。
名倉先生
フィラー注入は、「ただ入れればいい」というわけではありませんし、また「たくさん入れるほど綺麗になれる」わけでもありません。必要な部位に、適切な量を注入することが大事なので、顔や皮膚の状態をきちんと診て、正しいアドバイスをくれる医師や医療機関を選ぶことが大事です。また、リスクについても正しく理解したうえで施術するようにしましょう。
※この記事はMedical DOCにて<皮膚のたるみやしわの補正をする「フィラー注入」ならメスを使わないってホント?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

