急逝した夫名義の「自宅」は誰のもの?  遺言なし、妻は「子に渡さず住み続けたい」

急逝した夫名義の「自宅」は誰のもの?  遺言なし、妻は「子に渡さず住み続けたい」

夫の遺産を子どもと半分づつわけなければならないのですが、住んでいるマンションをお金にしないといけないのでしょうかーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、夫が遺言書を残さず急逝し、遠方に住む子どもと、相続をどうするか話し合いをしているそうです。遺産として夫婦で生活していた夫名義のマンションがあり、相談者は今後もそこに住み続けたいと考えているそうです。

相談者がマンションを売ることなく、住み続けることはできるのでしょうか。

以下、いくつかの方法を挙げてみます。

方法1:マンションを相談者のものにして、子どもにお金を払う

最も単純な方法は、マンション全部を相談者自身の名義にしたうえで、その価値の半分のお金を子どもに支払う方法です。

たとえば、2000万円分の価値があるマンションであれば、全部を相談者の名義にする代わりに、子どもに1000万円を支払う、という方法です。

しかし、相談者にお金がない場合、そもそもこの方法をとることができません。

もちろん、話し合いによって分割払いにしてもらうことは考えられますが、分割にしても苦しいケースは多いでしょう。

●方法2:マンションをすべて相談者のものにして、子どもに権利を放棄してもらう

この方法は、相談者が子どもと話し合って、マンションの所有権をすべて相談者自身の名義にさせてもらい、子どもには権利を放棄してもらうというものです。

先に書いたように、2,000万円の価値があるマンションを、相談者が1人で相続すれば、子どもにも1000万円分の相続権があるため、お金で支払うことになります。

しかし、子どもがその権利を放棄することに同意してくれれば、問題はなくなります。 もちろん、これはあくまで子どもの「同意」が必要なため、すんなり合意が得られるとは限りません。

なお、実務上は、相続財産を受け取らないことに合意する相続人は、実は案外多いように思います。

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