●方法3:マンションの持ち分を半分ずつにする
これは、マンションの所有権を、相談者と子どもで半分ずつ持つという方法です。この場合、マンションの登記簿上は、相談者と子どもとで所有権が「共有」される状態になります。
しかし、共有名義とするのは、特に共有者同士が疎遠な場合、なにかとトラブルになりやすいのであまりおすすめできません。
また、親子で一緒に仲良く住むのであればあまり問題ないのですが、仮にこの状態で相談者だけがマンションに住み続ける場合、子どもが「自分は住めないのに、お母さんだけ住んでいてずるい!」と感じる可能性があります。
そのため、子どもから「マンションに住んでいる間、家賃分のお金を払ってほしい」などと求められるかもしれません。法的には、子どもは住んでいないのに相談者だけが利益を得ているとして、不当利得返還請求ができる可能性があるからです。
●方法4:配偶者居住権を利用する
2020年の民法改正で新しくできた「配偶者居住権」という制度を利用する方法もあります。
これは、相談者が死ぬまで、もしくは決まった期間、マンションに無償で住み続けることができる権利です。
相談者が配偶者居住権を得て、子どもがマンションの所有権を得る、という方法が考えられます。つまり、マンションの所有者は子どもになりますが、相談者はそこに住み続けることができるというわけです。
例えば、2000万円のマンションを例にしてみましょう。
この制度を使うと、マンションの所有権は子どもが持つことになりますが、子どもは「自分が住んだり、人に貸したりできない」という『負担付き』の所有権を得ることになります。
この「負担付きの所有権」は通常の所有権よりも価値が低く評価されます。
たとえば、マンションの価値が2000万円だった場合、負担付きの所有権は1200万円と評価され、相談者の配偶者居住権は800万円と評価される、といった具合です。
このように、マンションの価値を「所有権」と「配偶者居住権」に分けることで、相談者は住む場所を失わず、子どもも本来の相続分をしっかり受け取ることができるため、双方にとって納得しやすい解決策となります。
ただし、この制度を利用するためには、遺言書に記載するか、遺産分割協議で話し合い、合意する必要があります。

